2005.08.28

つくばエクスプレス車内でラジオを聴いてみる

8/24に開業したつくばエクスプレス(略称TX)。開業初日は仕事の都合もあり、帰りに東京側の秋葉原~北千住間だけ乗って初日の雰囲気だけ味わったところだが、開業後最初の土曜日となった27日に終点つくばまで乗ることが出来た。乗車体験記などはすでに多くの人が書かれているので、あまり他人が書きそうもないネタということで。。。

◆車内でラジオは聴けるか
 つくばエクスプレスは駅構内や列車内で無線LANが利用できるのが一つのウリで、駅構内で開業時に利用できるのは、秋葉原など9駅、列車内の利用は実験中(※)とのこと。また、携帯電話についても、「地下区間を含め携帯メールが使用可能」(同社の「トピックス」のページによる)とのことだったが、ラジオ受信については特段触れられておらず、また、他の記事でも見たことがなかったので、ポケットラジオを持参して所々で適宜試聴してみた。時間は朝7~8時台。

 まずは秋葉原駅から南千住駅を過ぎたところまでの最初の地下区間。秋葉原を発車した車内でおもむろに持参したラジオをスイッチオン。ちなみに機種は松下のFM・AMステレオ対応ラジオ「RF-HS70」。
 しかし…まったく電波が入らず。やはりラジオ受信については特段考慮されてなさそうとあきらめる。もちろん、南千住駅を過ぎて地上に出ると普通に受信可能。ちなみに首都圏の各局が受信できるが、ラジオ日本だけは電波が弱い。

 北千住を発車し、再び地下区間へ。青井、六町の2駅の地下駅があるので、ダメ元でラジオのスイッチを入れてみると…あれ?受信できる。
 FMは無理だが、AMはNHK、TBS、文化放送(以下QR)、ニッポン放送(以下LF)については聴こえてくる。もちろん駅間を走行中でもOKだ。地上からの電波が入ってきているのか、何か設備があるのかは不明だが、とりあえず聴けるのは間違いない。ただ、LFは電波が弱く、AMステレオになりにくい。

 六町を過ぎて再び地上へ。電車はしばらく地上を快走する。
 それにしても速い。都心の地下区間以外は線形も良く、あまりカーブもないせいか、スピードが落ちない。最高速度は時速130キロだとのことだが、併走する車をスイスイ抜いていく走りは乗っていて気持ちがいい。高速走行と言えば京浜急行の快特や、JR西日本の新快速も時々乗る機会があるが、どちらも「いかにもスピードを出してます」という走り方をするのに対し(それはそれで乗ってて楽しいのだが)、つくばエクスプレスのほうは「余裕の走り」という感じ。スーッと加速し、淡々と走る。
 どなたかのブログで「新幹線みたい」と評したものがあったが、直線の高架線を突っ走る様は確かにそんな印象も受ける。ただ、近頃の新幹線はスピードアップのせいか、それとも遮音性に気を配っていないのか意外にモーター音がうるさく、その点こちらは走行音も割合静かなので、ラジオも聴きやすいのはうれしい。

 柏たなかを過ぎ、茨城県に入り最初の停車駅、守谷に着いたので再びスイッチオン。ここは地上駅なので、電波が入るのは言うまでもないが、茨城県内に入ったのになぜか茨城放送が入らない。線路付近がたまたま電波が入りにくい場所なのだろうか。他の首都圏各局については、TBSとQRはバッチリ。LFはやはり弱めだ。

 守谷駅を発車してから受信状況に異変が起きる。ラジオ電波は入ってきているのだが、加速のたびに電気的ノイズが入るようになった。また、走行中も細かく一定間隔でバリッというノイズが入る。ずっと聴き続けるのも不快だったので、ここでいったんスイッチを切ったため、ノイズの原因が交流電化方式(守谷で電化方式が変わる)のせいなのか、その時たまたまだったのかは分からなかったが、実際はどうなのだろう。車両によっても違うのかもしれないが…。

 田園風景の中を走りながら、いくつかの駅に停車した後、最後に再び地下へ入り、終点のつくば駅へ到着。ここも地下駅だが、地上から浅いせいか、弱いながら電波が入ってきた。
 下車すると、開業3日目だが最初の土曜日ということもあって、つくば駅にはたくさんのお客がいる。いわゆる鉄ちゃん系の人もいたが、おじさん・おばさんや、家族連れなど一般客がかなりいる。そして初日もそうだったが、ごく普通の女の子が携帯で電車や駅名標を写している様子が結構見られるのが特徴かもしれない。
 ラジオ聴取については、「まずまず使える」というのが全体的な感想。都心部で受信できないのが残念だが、この区間はわずかの距離で、乗り降りもあるので、それ以外の大部分で聞ければAMに関してはとりあえずOKかもしれない。もちろん、新御徒町で接続している都営大江戸線にならって再送信設備を設置して、地下区間でも受信できるようにしてもらえばなおいいと思うけど。

 なお、肝心のTXの利用状況については、地元紙「常陽新聞」によると、「TX、初日19万4000人が乗車」ということで、しかも初日は秋葉原駅とつくば駅で混雑したため入場制限があり、更に改札口では切符に代わる乗車証明書による乗車人数も多くあったとのこと。「乗車証明書の発行数は確認されていないが、これも含めると二十万人以上の乗車があったとみられている。」というから、まずは好調な滑り出しでなによりだ。

※…手元にある、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレスの正式な社名)が発行している「つくばエクスプレスだより」49号によると、駅構内で開業時に利用できるのは、秋葉原、新御徒町、浅草、南千住、北千住、青井、六町、柏の葉キャンパス、つくばの各駅。

<参考>
TSUKUBA EXPRESS|つくばエクスプレス (公式ページ)
ITmediaニュース:つくばエクスプレスは車内も駅も無線LAN


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2005.06.18

ひどい駆け込み、ケガは自己責任と車掌放送

ラジオ、テレビで報道されたのかどうかは分からないが、こんな記事をみつけた。以下、NEWS@nifty:「○?×?…ひどい駆け込み、ケガは自己責任と車掌放送」(読売新聞).より。

 JR中央線国分寺駅で今月4日、東京行き快速電車の閉まりかけたドアをこじ開けて乗った男性客に対し、車掌が「駆け込み乗車は危険です。大けがをすることになります。それで大けがをしても、そちら(乗客)の責任です」と車内アナウンスした。

 これを聞いた別の乗客がJR東日本に抗議、同社は「言葉に配慮がなかった」と非を認め、車掌を指導した。だが駆け込み乗車は実際に事故につながる危険な行為。発車が遅れると運転士は、JR福知山線事故でもクローズアップされた「回復運転」を強いられることにもなる。識者は「利用者の側も、駆け込み乗車の危険性と、多くの人が迷惑を被ることを認識するべきだ」と指摘している。

 JR東日本によるとアナウンスをしたのは男性車掌(48)。同社は「あまりにひどい駆け込み乗車だったので、感情的になったようだ」と話す。

 駆け込み乗車で大けがしかねないのは事実だ。過去には、ドアにはさまれて転倒し骨折したり、衣類のすそがドアに挟まってホームから転落するような事故も起きている。

 駆け込み乗車による電車の遅れも深刻だ。山手線で仮に1駅で5~10秒ずつ遅れると、それだけで電車1本分の運転ができなくなる。JRのダイヤは最短10秒単位で刻まれており、運転士は遅れを取り戻すため、ブレーキのタイミングをずらすなど回復運転をする必要が出てくる。

 すでに多くの方がブログに意見を書いており、中にはこれを、列車本数の少なさからJRの体質論に話を持っていき、「JR東日本ってのは、国鉄の時代から何も改善されていないどころか、余計悪くなってるということだろう。殿様商売っていうのは、きっとこういうことを言うんだろう」という意見もあった(まるでJR西日本の福知山線脱線事故報道のマスコミの論調みたいで、ちょっとがっかりした。もちろん個人の意見なのでそういう意見もありだろうが。)が、概ね、注意したほうの車掌を支持する意見で、ほっとした。
 「サービス業としてはやはりマズイ」という意見もあったが、なんといっても安全に関わる部分である。何のためにアナウンスしているのかという目的を考えれば「お客様が事故に合わないため」であり、生半可なアナウンスでは本来ダメなわけで、事故が起きてからでは遅いのだ。

 今回の件でもう一つ引っかかるのは、「これ(アナウンス)を聞いた別の乗客がJR東日本に抗議した」というところ。こちらについても、多くの方がJR東日本への抗議は筋違いと感じているようだが、同感だ。
 「tonybinの二流人生」さんのところの6/18の記事「タテマエを要求して謝罪させる日本人」にも書かれているように、この「別の乗客」はいったい何を求めているのだろうか。「お客様」に対してその物言いはなんだ!ということなのだろうが、こういう本質と違うところにあるつまらない正義感が一番タチが悪い。そりゃ言葉遣いは丁寧なほうが良いに決まっているが、先にも書いたようにアナウンスの目的を考えれば危険防止にならなきゃ何の役にも立たない。

 また、JR東日本が『「言葉に配慮がなかった」と非を認め、車掌を指導した』という部分は、大なり小なり接客がある仕事をしていれば、(サービス業という立場から)JR東日本としてもそうする(謝る)より仕方がないのだろうな…と思いつつ、どうもしっくりこないし、こういうのも何とかならないものかと思う。
 この辺の感情については、「Fozyの独り言」さんのところの6/18の記事「怒る利用者、謝る企業。その両方にムカつく俺」にうまく書かれているが、「本気で反省しているわけはなく、波風を立てたくないだけ」で企業が謝ってしまうために、「(JR東日本に抗議した)バカは過ちを指摘できる識者ということになる」ということにイライラしてしまう、というのは、自分も同じように感じる。

 最後に、効果的な駆け込み防止策を提案しているのが、B-CHANさんの「STELLAR WIND blog」6/18の記事「駆け込み乗車を過激に防いでみる」。いや、実際にやったらダメだけど(笑)。

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2005.05.09

運転士や車掌などへの『暴行』等が相次ぐ

JR福知山線の脱線事故についての(というよりも、最近は事故そっちのけの「不適切」騒ぎだが。)マスコミ、特にテレビのあまりにも一方的な報道については、すでにあちこちで取り上げられているところだが、そんな中、とうとうこんな事件まで起きているという。

以下はYahoo!ニュース 運転士や車掌などへの嫌がらせ、事故後70件…JR西 から。

 JR福知山線の脱線事故後、JR西日本管内で、運転席後方のガラスに「命」と印刷された紙が張られたり、女性運転士がホームでけられ線路に落ちそうになったりする嫌がらせ行為が約70件も相次いでいることが、7日わかった。
 事故以降も後を絶たないオーバーランや不祥事も影響しているとみられている。

 西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)などによると、4月27日夜、JR東海道線の大阪駅に着いた新快速電車の運転席後方のガラスに「命」と書かれた紙が上下逆さまに張られているのが見つかった。同様の張り紙はこれまで計6回あった。
 今月6日には、大阪駅ホームで電車を見送っていた女性運転士が、男性に足をけられ、ホームから転落しそうになったという。

 このほか、▽東海道線・野洲駅で、男性駅員が「尼崎の事故でたくさん死んでいるのにJRは何をしてるんや」と言われ、顔を殴られた▽福知山線・宝塚駅で、若い車掌が乗務員室から引きずり出された▽大阪駅で、運転士がコーラの缶を投げつけられた――などが相次いでいる。

 このニュース、テレビ等でも特に見かけなかった(正直うんざりしていてちゃんと見ていないため、見過ごした可能性もあるが。)が、これが事実だとすれば、連日の「ボウリングが盛り上がっていたか」とか「懇親会がいくらのコースだったか」等という、くだらない話題を放送する暇があったら、よっぽど「事件」として取り上げるべきではないか。

 中でも、記事では事例があったというだけで何も触れられていないが、「女性運転士が、男性に足をけられ、ホームから転落しそうになった」とか「男性駅員が「尼崎の事故でたくさん死んでいるのにJRは何をしてるんや」と言われ、顔を殴られた」等というのは、一歩間違えれば非常に危険な事例であり、タイトルのような「嫌がらせ行為」なんて生易しいものではない。れっきとした「犯罪」だ。これらは本来道義的な問題である「ボウリング」等より、よっぽど大問題のはずなのだが、事実関係はどうなっているのだろうか。今まで特に取り上げられた様子がないのだが。
 ちょっとひっかかるとすれば、情報の出所が「西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)などによると」ということで、もちろん組合から情報がもたらされても全くおかしくないのだが、これは自社の社員と列車の安全運行に係る大きな問題であり、当局側から情報がもたらされてもいいと思うのだがどうなっているのだろう。それとも当局は把握していないのだろうか。

 上記の記事では、これらの事件は「事故以降も後を絶たないオーバーランや不祥事『も』影響しているとみられている」と、原因を他人事のように報じているが、一義的にはそうだとしても、センセーショナルな報道で、今回の事件(それも肝心なところ以外の、周辺の事象ばかり)を必要以上に煽っているマスコミに責任はないのだろうか。
 『も』に、マスコミの反省も込められていると思いたいところだが、どうだろう。

<追記・関連記事>
 JR福知山線脱線事故報道
 JR福知山線脱線事故に対する呆れたコメント
 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言

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2005.05.07

JR福知山線脱線事故報道

4月25日にJR福知山線で脱線事故が起こってからまもなく2週間になろうとしているが、あいかわらず報道がおかしな方向に向かっている。

 事故直後のまだ詳しい状況も分からないうちによく見られたのが、短絡的な原因決め付けはもちろんのこと、時刻表を映して「こんな短い間隔で走っているんですよ」「怖いですねぇ、やっぱり過密ダイヤは問題ですね」などという無責任なやりとり。では、あなたたちが東京のテレビ局へ向かう時に利用しているであろう首都圏のJR・地下鉄各線はどうなのだろうか。
 言うまでもなく、あの区間より頻繁に運転されている区間はいくつもある。「過密ダイヤ」という言葉に引きずられているのだろうが、いまだにこの論調は見かける。今回問題なのは、1時間あたりの列車本数よりも所要時分に余裕がないことであり、だから列車が遅れるとスピードを上げて定時運行にしようとするのだが、そういうプロセスを全然考えてしゃべっていないからおかしくなる。

 そして、最近は一連のボウリング、懇親会などの「不祥事」報道だ。
 ボウリングは普通に歓声が上がっていただの、何人が二次会へ行っただの、いくらのコースだっただの、酒は何人が飲んだだの、これが事故とどう関係あるのか、放送しているほうもアホラシイと思わないのかと逆に不思議に思えてしまう。

 JR西日本のほうも、あとでマスコミ側から「こんなのもあったのに隠してた!」と叩かれてはかなわんと思ったのか、それともやけくそなのか分からないが、休暇をとって韓国旅行へ行っていた人や、駅主催のお客様との企画旅行や大阪から遠く離れた金沢や米子の事例まで自ら「不祥事」として公表し、またそれらをすべてひっくるめた人数で鬼の首をとったかのようにテレビ等が報道。もう事故なんてどこかへいってしまっている。
 これらが勤務時間中に行っていたり、召集がかかるような部署であるなら「不祥事」だろうが、すべて非番や休暇中のことであり、「不謹慎」ではあるかもしれないが、「不祥事」といってよいものか。(いくらJR西日本管内とはいえ、大阪から遠く離れた地区の人たちがその日に懇親会や送別会を開いても不謹慎とも思えないが。)

 そんなことを垂れ流している時間があるなら、事故を防ぐにはどうしたらよいかとか、こういうことに至った背景はどんなものであるかといったことを取材するとか、他の国内外に起こっている様々なニュースを報道すべきではないかと思うのだが、どうもそうはならないようだ。
 以前も当ブログでニュース番組の「ニュース番組」という形をとった「ダラダラワイドショー」化を嘆いたことがあったが、こういう事件が起きた時も、結局、悲しみにくれる遺族や故人の生前の業績等を見世物(というより晒し者だと思う。)にして悲しいBGMをつけた「お涙頂戴」映像と、記者会見で頭を下げるJR西日本幹部への記者の恫喝・罵声(あんたは遺族の関係者なのか?)映像、そして土地勘もなく事情もよく分からないキャスターとコメンテーターの無責任で感情的なコメントのやりとりで水増しして放送しているだけで、やっぱり時間拡大する意味がなかった。民放各局のニュースはもちろんのことなのだが、最近はNHKですらこういう傾向なのはうんざり。

 こういうマスコミの報道に違和感を覚えている人はあまりいないのかと思っていたが、多くのブログ等で同様の感想を書いている方がいてちょっとほっとした。

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2005.04.25

JR福知山線脱線事故に対する呆れたコメント

25日に兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口―尼崎駅間で起きた、宝塚発同志社前行き快速電車の脱線事故については、午前中からテレビ・ラジオともに特別番組を組んで報道していたようだが、夜10時からの夜ワイド枠においても、TBSラジオは「アクセス」の冒頭で、ニッポン放送は「ニッポン全国ラジベガス」の冒頭でそれぞれ20分程度、ニュースや現地からのリポートに切り替えて放送していた。(「ラジベガス」のほうは、番組途中でも再びニュースを入れていた。「アクセス」のほうは不明。)

 「アクセス」はTBSの記者、「ラジベガス」はラジオ関西の記者のリポートを入れるなど、どちらも力を入れていたが、それに水を差すようにどうしようもなかったのがこのニュースにコメントを述べていた2人だ。

 「アクセス」のほうは月曜レギュラーの田中康夫。
 事故に対するコメントを求められて、「JRは民営化したと言っているが、何も変わっていない」から始まり、「飛行機は東京から札幌へ行くのに複数(会社)の選択があるが、例えば東京から長野へ行くにはひとつしか選択肢がない」だの、「サービス業はどこでもサービスを受けてから料金を払うのに、JRはお客に運賃や定期券を6ヵ月分も先払いさせて、たいしたサービスもない」だの、もう訳が分からない支離滅裂なコメント。
 長野規模の都市に新幹線を平行して走らせること自体が非現実的は話であり(ちなみにバスは時間も違うから選択肢としては別だ、等と、更に訳の分からない注釈までついていた。)、比較になっていない。また、定期券代を後払いできる鉄道がどこにあるのか。田中知事も絡んでいた「しなの鉄道」は6ヶ月定期券は乗った後に払う後払い方式だったのだろうか?まったくそんなことはない。
 田中康夫がJR(東日本も西日本も一緒くたなのも無茶苦茶なのだが。)が嫌いなのは良く分かったが、そもそも今回の脱線事故とは何の関係もない単なる悪口と言いがかりであり、本人が大真面目にしゃべっているだけに、なおさら「アホらしい」の一言に尽きるコメントだった。

 一方「ラジベガス」のほうは、「レールウェイ・ライター」の種村直樹。
 こちらは電話による出演だったのだが、最初から、まるでお酒でも飲んでいたかのように会話に間があき、何だかろれつが回っていない状態。無音部分で放送事故にならないよう、スタジオが一所懸命場繋ぎしていたのが滑稽だった。加えて「事故の原因をどう考えているか」という質問に、間をあけた後、「えー、大きな事故は委員会を作ったりして、国土交通省も調べるでしょう」という、答えになっていない答え。
 続けてのコメントがまたよく分からない。「僕は昔関西にいましたが、あの線路は僕がいたころと変わっていない」等と言い出し、何を言うのかと思ったら、「阪神大震災のときに伊丹駅を高架にしましたが、あの線路が高架だったら、今回の事故はなかった」等と言い出した。どうして高架線なら今回の脱線事故が起きなかったのか、まったく意味不明だ。それどころか、場合によっては脱線して高架から転落してもっと大惨事になっていた可能性だってある。さすがにスタジオも聞いてもしょうがないと思ったのか、早々に会話を終わらせていた。
 種村氏は元毎日新聞記者で、フリーになってからは良くも悪くも多くの鉄道に関する本を出してきた人なのだから、たとえ技術に明るくなくてその方面ではコメントできなくても、事故原因なんかどうでもよくて大騒ぎしたいマスコミ報道に対して一言述べるくらいあってもよかったはずだが、それ以前の状態でほとほと呆れた。
 その後に見た、TBSテレビに出ていた曽根教授あたりは、質問するほうが原因を単純化(運転士が経験浅いからだ、とか、カーブがキツイから脱線した、とか)煽り立てているときに、「そんな単純なものではない」と、その辺慎重にコメントしていたから、余計差が目立った。

 「無理してコメントをとらなくても…」とつくづく思った2番組だった。

<追記・関連記事>
 JR福知山線脱線事故報道
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2005.02.23

東京メトロもラジオ受信を、災害対策で在京各局が要望

 YOMIURI ON-LINEによると、在京ラジオ各局が、地震などの災害対策として東京メトロ(元営団地下鉄)の地下鉄内でラジオ受信できるよう、国に対策を要望し始めたとのこと。しかし、巨額の設備費が問題となり、見通しは不透明だという。
 情報元:YOMIURI ON-LINE / 芸能・文化

 リンク先の記事にあるように、現在東京メトロのトンネル内ではAM、FM放送とも聞くことができない。一方、都営地下鉄は全線でAM放送が受信できる(ことになっている)。
 なぜラジオが聴けないの?携帯電話だってつながるのに?と思われる方もいらっしゃるかもしれないが(分かっている人にはごく当たり前の話なのだが)、ラジオも携帯電話も電波を使っているため、トンネルで遮蔽されている地下鉄内は地上の電波が入らないからで、駅の入口付近など地上から電波が漏れて入ってくるようなところを除いて、本来地下鉄では携帯電話も使えないのだ。

 それがなぜ携帯が使えるかというと、駅ごとにホーム等にアンテナを設置して電波を中継しているからで、同様に「都営地下鉄は全線でAM放送が受信できる」というのは、地上で受信した電波を、駅だけでなくトンネル内に引いたケーブルから電波を再送信しているからなのだ。
 記事によると、これらの設備には巨額の費用がかかるために東京メトロも慎重だというが、都営地下鉄の場合は、やはり「都営」としての災害対策の観点と、地下鉄としては後発ゆえのお客様サービスの観点から導入したものと思われる。余談だが、都営では各駅構内において無線LAN設備を構築して公衆無線LANサービスも始めようとしており、なかなか積極的である。

 今回各局は「災害時」の情報提供手段として要望していて、もちろん災害時のラジオの有効性は言うまでもないのだが、同時に普段から朝夕の通勤時にラジオを聴いてもらいたいという思惑もあるのではないか。
 確かに今でも長距離通勤のお供に朝の電車の中でラジオを聴いている人は多く、何も災害時でなくとも、地下鉄線内でラジオが聞ければありがたいに違いない。

 ただ、最初に「受信できる(ことになっている)」と、あえてカッコ書きしたのは、全体にいまひとつ使いにくいからなのだ。

 電波は確かに入ってきているが、現状では電車の走行音自体が大きく(特に地下はトンネルで反響するためうるさい)、トーク主体のAMラジオ番組は、音楽と違って相当イヤホンのボリュームを上げないと会話が聞き取りにくいこと(かと言って会話が聞き取れるほどまで音量を上げると、相当耳に良くない)、また、車両によってはモーターや集電装置(パンタグラフ)からのノイズが大きく、これまた番組の最中に突然強烈なノイズが聴こえてくると、とても落ち着いて聞いていられない。
 時折学生が、走行音に負けずにメロディに没頭したいためなのか、となりに座っていると洩れてくる音だけで何の曲を聴いているのか分かるぐらいの大音量で音楽を聴いていることがあるが、あんなふうに「難聴まっしぐら」みたいなことはしたくない。改善はなかなか難しいのだろうが、単に電波事情だけでなく、このあたりの事情も考慮してもらえるとありがたいのだが。

(余談)
 都営新宿線に最近新車が入ったようで、この前乗る機会があったのだが、整備のされていない自転車のような騒々しいブレーキ音?にびっくり。普通に会話をしていた乗客にまで「ずいぶんうるさいねぇ、この車」と言われていて残念だった。あれでは正直ラジオを聴くどころではない。走行中は今までの車両より静かな気がするだけに惜しい。

(余談9/11追記)
 先日同じ車両に乗る機会があったが、ブレーキ音はかなり緩和されていた。かなり整備がされたのか、走りこむうちに収まるものなのかは分からないが、乗客としてはなにより。


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2005.01.18

阪神・淡路大震災10年(3)-当時の思い出

 先週忙しくて見られなかったNHKテレビ「プロジェクトX」をやっと見た。もちろん内容は、JR東海道本線六甲道駅の復旧工事を扱った、「鉄道分断 突貫作戦 奇跡の74日間」(1月11日放送)である。

 「賽は投げられた」さんの 「救命病棟」を差し置いて見た番組には、番組の内容はもちろんのこと、震災当時の阪神間の通勤状況や、神戸とそれほど離れていないはずの大阪ですら何も無かったかのような普通の生活が行われていたことなど、「プロジェクトX」が取り上げた復旧工事当時の背景が簡潔かつ的確に書かれているので合わせてご覧になっていただきたいが、番組を見るまでも無く、震災後、鉄道をはじめ、電気、水道・下水道、ガス、電話など、ライフラインと呼ばれている部門の関係者の方々の早期復旧への努力には本当に頭の下がる思いがする。

 我が家の場合、昨日もちらっと書いたが、祖父が神戸市内で一人暮らしをしていた。幸い大きな被害はなかったため、祖父は一人で頑張っていたようだったが、水・食料も不足し、店も閉まっている状況の中で、「そうはいっても一人でずっといるわけにもいかんだろう」と、関西在住の親戚が交代でそれこそ何時間もかけて時々様子を見に行っていた。もちろん私の母親も様子を見に行きたかったようだが、市内へなかなか入れないような状況では、関東在住である私の母親はそう簡単に訪ねていくわけにもいかない。

 そんな中で、阪神電車と阪急電車そしてJRの開通区間を乗り継げば神戸市内中心部へ行けるようになったというニュースが入った。まだJRの六甲道は復旧していない頃だ。それでも東京では、「電車で行ける」ということぐらいしか分からない。
 電車に乗るのにどれぐらい待たなければならないのか、乗り継ぎといっても通常なら乗り換えるような駅ではないから、乗り継ぎのバスに乗るのか、徒歩連絡なのか、混雑はどれくらいなのかも、東京で流れる全国ネットのニュースではよく分からない。結局、最低限の土地勘もあり、男一人ならなんとでもなるということで、しばらくして休みが取れた時に、私が母親の代わりに神戸を目指すこととなった。

 当日どういうルートで乗り継いでいったのかは、どこかに記録しておいたのだが手元になく、はっきりとは覚えていない。恐らく、部分開通していた阪神電車で青木(読みは「おおぎ」である。東京のマスコミはよく間違えていたが。)まで行き、そこから阪急御影駅まで連絡バス、そして同じく部分開通していた阪急電車で王子公園へ、そこからJRの灘駅まで歩き、JRに乗ったものと思われる。

 大阪市内ではいたって平常な様子だったのが、神戸に近づくにつれ、見る見るうちに風景が変わってくる。何事も無いかのように立っている家の隣に全壊した家がある。青いビニールシートがあちこちにかけられている。瓦礫を片付け綺麗さっぱりと何もなくなってしまった土地がある。
 テレビで見ていた被災地の様子が目の前にあった。しかしどんな画面も、現地で生で見た風景には敵わない。一応カメラも持っていってはいたのだが、とうとうシャッターを押す気にはなれなかった。しかしその時見た光景は今でも覚えている。祖父の家には暗くなった頃無事にたどり着いたが、祖父は案外元気でホッとしたものだ。

 晩飯は祖父がよく行っていた近くの串カツの店へ行ったのだが、ガスが復旧しておらず電気しか使えないため、刺身と湯豆腐ぐらいしか出来ないという。しかしその時の刺身と湯豆腐は美味かった。
 あれから10年、あの店は無事営業しているだろうか。

<ラテログ内関連記事>
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阪神・淡路大震災10年(2)-震災報道に思うこと
東京メトロもラジオ受信を、災害対策で在京各局が要望
阪神淡路大震災から11年目 ラジオ関西など特別番組


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