テレビ朝日のアニメ「ドラえもん」のオープニングテーマ曲が、「こんなこといいな~」で始まる「ドラえもんのうた」に代わって、宇崎竜童・阿木燿子夫妻の作曲・作詞で、夏川りみが歌う「ハグしちゃお」になるとのこと。新曲の登場は10月28日の放送から。
実はこの文、少し前にこのニュースを聞いて感想を書こうかと思ったのだが、うまくまとまらなくて保留にしていたものなので、もう、ファンの方のブログ等では語りつくされてるだろうから今更の感もあるのだが…。
さて、その「ドラえもん」、実は最近全くといっていいほど見ていない(声優が一新した後チラッと見る機会があったが、あまりの変わりように驚いたが。)のだが、かつて子供の頃は「てんとう虫コミックス」の全巻を揃えたし、昭和54年4月2日のテレビ朝日版「ドラえもん」第1回放送(放送時間は月~金の夕方6時50分からの10分間)から放送を見ていたくらいのドラえもん好きだったので、それなりに思い入れもあるあった番組なのだ。
で、このニュースを報じた日刊スポーツの記事「ドラえもんテーマ曲も交代、夏川が歌う」 (2005/9/21)によると、 このように紹介されている。
(前略)ドラえもんは4月に大山のぶ代ら声優を一新。79年の放送開始から大杉久美子、山野さと子、東京プリン、渡辺美里、女子十二楽坊とアーティストを代えて続いていたオープニング曲も刷新することになった。
このほどレコーディングが行われたが、夏川は「信じられないという気持ち。おいっ子やめいっ子が12人いるけど、みんな『すごいね』って大喜びで。ここまで元気いっぱいな歌を歌うのは初めて」と興奮気味。作曲の宇崎も「『ドラえもんの歌が書けるんだ』っていう楽しみを感じた。ワクワク踊れるようなものにしようと心がけた」、作詞の阿木は「国民的な人気者ですし、宇崎と2人でかなり力(りき)が入っていたんですよ」と打ち明けた。
役目を終えた「ドラえもんのうた」について、吉川大祐プロデューサーは「番組にとって貴重な財産。今後も映画や挿入歌などで次世代に伝えていければ」と話した。
この記事では略した部分も含め、「なぜ」オープニングテーマを変える必要があったのかは書かれていない。それにしても、オープニングテーマは番組の「顔」であり、看板である。それをどうして変える必要があるのだろうか。
しかも「番組にとって貴重な財産」なので映画や挿入歌で使うのだという。さっぱりやろうとしていることが分からないんだけど…。
確かに近年、特に作者の藤本氏が亡くなってからというものの、アニメ「ドラえもん」の扱いは迷走している。
最近の声優交代劇は、年齢による仕方がないものだとしても、「声優が変わる」ということを単なる話題づくりにしかとらえていないような、どこかすっきりしないものを感じたし(現に旧声優陣は、交代は寝耳に水だったという記事すら流れた。もちろん真偽のほどは定かではないが。)、オープニングテーマの粗末な扱い(あの東京プリンはいったいなんだったのだろう。)といい、エンディングの、W(ダブルユー)による番組内容と何も関係のない歌の起用といい、「話題になりさえすれば」という悪あがきを見るたびに、かつて20%近い視聴率を稼いでいた頃を知っている世代としては、「ああ視聴率が悪いからテコ入れしているんだな…」と、寂しさを感じざるを得ない。
オープニングテーマについて言えば、長く続いた大杉久美子~山野さと子の後は、東京プリン、渡辺美里、女子十二楽坊と目まぐるしく変わったが、そのたびにテレ朝側は、数々の美辞麗句で新しいアレンジを褒め称えて紹介してきたはず。では「そんないいもの」がなぜクルクルと変わっていくのだろう。いいものは続ければいいんじゃない?(冷笑)。
そんな悪あがきの末、今回のテーマ曲そのものの変更だ。他のブログを拝見するに、作者の宇崎竜童・阿木燿子夫妻はテレ朝版「オバQ」のテーマソングを担当するなどの実績があるそうで、テレ朝も一応は気を使っているのだろう。が、しかし。
今回の新曲が(仮に。←というのは後で述べる。)どんなにいい曲だとしても、20年以上続いた曲、そして昔と違い、曲そのものの各世代への浸透力が違う(今の時代、どんなヒット曲でも各世代に満遍なく知られているような曲はないに等しい)現在、「ドラえもんのうた」を超える知名度は獲得できない。そして世間の大多数を占めるであろう、普段「ドラえもん」を見ていない人は、それ(新曲)が「ドラえもんの歌である」とは認識してくれないであろうと断言できる。
定番メロディというのは大事なのだ。15秒間でメーカー、商品名を認知させなければいけないCMを見ればよく分かる。「♪チョコレートは明治」、「♪カルビー、かっぱえびせん」などのいわゆるコマーシャルソングは、アレンジを変えながらも何十年も使い続けられているし、このブログらしくラジオ番組で言えば、「オールナイトニッポン」のテーマ曲、「ビタースイート・サンバ」は、先日のライブドア騒動のときにニッポン放送を表現するBGMとして何度も使われた。それは番組開始以来、長く使われ続けているため多くの世代に認知されているからで、番組を聞き流している人であっても、これを流せば「ニッポン放送のことだ」とすぐ分かるからだ。
今回のニュースは、ドラえもんの制作局であるテレ朝の朝の情報番組「やじうまプラス」の新聞記事紹介で見たのだが、記事紹介の時にバックで流れたメロディは、東京プリンでも渡辺美里でもない。そして現在使われていて散々テレ朝自体がPRした女子十二楽坊バージョンでもない。では何が使われたのか。そう、最初のバージョン、大杉久美子版(のはず)だ。これが現実である。
結局、朝の忙しくてじっくりテレビを見ていない時間帯、テレビ画面に目を向けさせるために一番定番のメロディを選んだら、必然的に一番知られている昔のバージョンが選ばれたのだろう。いやもしかすると、そこまで考えることなく、番組スタッフが「ドラえもん」で思いつくのは昔のバージョンだったのかもしれない。
恐らく新曲が使われだしても、世間で「ドラえもん」をイメージさせる歌が「ドラえもんのうた」であるのは今後も変わらないだろう。となると、「ドラえもん」をPRするのに世間の知名度の低い新曲でひき付けようとしても、効果は限りなく低いに違いない。せっかく知名度抜群のPRソングを持っていながら、むざむざそれを捨てようとする今回の試み。当然何らかの事情があるのだろうが、一視聴者から見ればさっぱり分からない。
最後に肝心の新曲だが、「やじうまプラス」で一部分が流れたのだが、ちらっと聞いた限り、夏川りみに歌わせるせいか沖縄調のメロディ。そして、タイトルが「ハグしちゃお」って。。。
「ドラえもん」は沖縄の話だったっけ?
「ドラえもん」はみんなを「ハグ」する話だったっけ?
すでにこれだけで「ドラえもん」と関係のなさが滲み出ているのが寂しい。だいたい「ハグする」という単語はそりゃ意味は分かるけど、世間でごく普通に使う単語ですかね。昔のようにアニメソングとして番組のテーマや内容に沿った歌のテーマ曲が最近作られていないのは知っているけど、あまりにどうかと思うのだが…。
単独の曲として聞けばいい歌なのかもしれないが、その曲が「ドラえもん」のテーマ曲である必然性がないだけに、なんか、1年も経つとまた別の曲に交代しているような気がプンプンとする曲だった。
最後に、「天声D語Compact」さんのところに書いてあった一言に思わず笑ってしまったのでご紹介しておく。
とりあえずハグしちゃおというよりハズしちゃおって危険がプンプンするんですよ。
(追記) 起きてから読み返してみたが、元々うまくまとまらなかった文だけに無駄に長いし、妙に思い入れが強そう(に見える)。でも正直、本心はそれほどでもない(汗)。冒頭に書いたように、いくら昔熱心に見ていた番組でも、今は見てないんだからつべこべ言う必要もないわけで。それに、見てない人が言っても説得力ないし、逆の立場なら言われたくないだろうし。。。
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