2009.02.02

石丸電気はどこへ行く?

 既に昨年(2008年)9月に報道されているように、2月1日付けで東京・秋葉原の電気店、石丸電気は、エディオン傘下の「株式会社エイデン」による吸収合併により、会社組織としての「石丸電気」が消滅した。まずは、これを報じた「家電Watch」の2008年9月の記事から。

 株式会社エディオンは18日、グループ事業を再編する方針を発表。グループ傘下の「株式会社エイデン」が、同じくエディオン傘下の「株式会社東京エディオン」「石丸電気株式会社」および石丸電気の子会社を吸収合併する。10月6日に行なわれる株主総会で承認された後、2009年2月1日に正式に合併を行なう。
(中略)
 今回の再編では、東京エディオンと石丸電気、そして石丸傘下の「東京石丸電気」「石丸電気レコードセンター」「アイアイオンライン株式会社」が合併のため消滅し、エイデンに吸収される。また、同じく石丸傘下の「アイアイテクノサービス」は、エイデン傘下の「コムネット」に吸収される。
(中略)
  これにより会社組織としての「石丸電気」は消えることになるが、同社ではストアブランドとしての石丸電気を、当面のところは変更しない方針だという。また、東京エディオンが所有する関東地方の「エディオン」ブランドの7店舗も、名称はエディオンのままとなり、「エイデン」には変わらない。

 「秋葉原」というと、近年はアニメやフィギュアだのメイドさんだのの印象が強くなり(実際はそれだけではないのだが)、年配者の多い職場で「秋葉原へ行く」というと、「メイド喫茶に行くのか」なんて聞かれて困ってしまう街になってしまったが、かつては家電やオーディオ機器の街で、買う前の下調べはもちろん、購入も秋葉原が当然のごとく選択肢としてあり、その中でも個人的にはよく利用していたのが、石丸電気だった。

 自分が秋葉原へ行きだしたのは、石丸本店は現在のようなビルになっておらず、3階か4階にLPレコードが並んでいたし、現在の生活家電館が二階建ての建物で階段部分までテープデッキやチューナーなどのシステムコンポを並べていた頃だから、昭和50年代だろうか。
 この頃は電気店で今のヨドバシのような超大型店舗はなく、秋葉原の石丸各店、今もあるラオックス本店、今はヤマダ電機になったサトームセン、現在建て替えでソフマップになってしまったヤマギワ本店などが最大級の店舗だったので、下調べにカタログをもらいに行ったり、地元では決して置いていない実機を触ってみたりするのが楽しみで、少ない小遣いの中から電車賃を払って一日秋葉原電気街めぐりをしたものだ。

 中でも石丸電気は、こちらから声をかけない限り店員からは声をかけない、という接客スタイルで(当時は店内にそう表示してあったが、今はどうだろう?)、色んな機種をじっくり触ってみたい子供の自分には最高の環境だった。
 今振り返ると、こちらは子供は子供なりに「オーディオファンの端くれ」として、乱暴な取扱はしないことは勿論、他のお客さんが来たらその場を譲るなど、精一杯の気を使っていたつもりだったが、店員から見れば所詮子供は子供。超高級とは行かなくてもそれなりの値段の機種をあちこち触っていれば、ハラハラすることもあったのではないかと思うが、触るなとは一度も言われたこともなかったし、質問には丁寧に答えてくれたので、嫌な思いをしたことはない。今は無くなった「あなたの近所の秋葉原」がキャッチフレーズだったSムセンでは、何を買うのかという問いに「今日は下見に来た」と言った途端、店員が急に不機嫌となり邪険に扱われたこともあったから、余計に印象が残っている。もちろん購入する時は、石丸電気へ行ったのは言うまでもない。

 しかし、近年の石丸電気は正直利用することが少なくなった。通勤ルート上にヨドバシカメラがあり、大抵のものはそこで買えることが大きいのだが、価格面でも、石丸の表示価格からポイント等で割り引いた額より、ヨドバシのポイントを引く前の表示価格のほうがかなり安いということが多い状況ではさすがに足は遠のく。

 更に自分にとって決定的だったのが、エディオン傘下になって「石丸が変わる! アキバを変える!」をスローガンに2007年10月に行われた全店舗の一斉リニューアル。
 エディオン傘下になっても、価格面ではなんらヨドバシに対抗できていなかったのに加え、更に店員との交渉で安くなる余地までなくなっていてそれだけでもツライところに、この大改装により、どこにでもある商品しか置かなくなってしまったのがトドメを刺した。他店ではあまり実物を置いていない商品でも在庫があってすぐ買えたり、メーカーや他店で在庫僅少・又は売り切れとなっていても「石丸へ行けばまだある」ということが以前は多々あり、それが石丸へ行く楽しみであり、購入の大きな動機になっていたのだが、それがほとんどなくなってしまい、店頭に並んでいるのはそれこそ近所の中規模のコジマやヤマダで扱っているようなものばかりで、ヨドバシAkibaのほうがまだマシ、という状況ではさすがに行く動機がなくなる。
 さすがにCDやDVDなどソフトのほうは、今でも少なくとも邦楽に関しては品揃えはダントツだと思うし、探し物があるなら一度は行ってみる価値があると思うが、それでも昔は廃盤モノなどの在庫はもっとあったように思うし、かつての「レコードセンター」を知っていると、品揃えの圧倒感みたいなものはないのはちょっと寂しい。

 ウリだった接客のほうも、先日久しぶりに新譜のCDを買いに行って、ヨドバシその他他店では在庫していなかったマニアックなCDがちゃんと陳列してあったのを見て、「さすが石丸だ」と思ったものの、受け付けた女性店員はやる気無さそうに「ポイント貯めますかー」という感じで応対されて、ちょっとがっかりした。以前もCDを買ったときに、そこにいた店員数人が一斉に大声で「あっりがとーござぃましたぁ~」なんてビックカメラみたいな声かけをされて、どうしちゃったんだろうと思ったこともあった(その後、苦情が来たのか大声はなくなったみたいだが)から、もう昔のイメージではないのかもしれない。

 冒頭の記事によると「会社組織としての「石丸電気」は消えることになるが、同社ではストアブランドとしての石丸電気を、当面のところは変更しない方針」とのことなので、しばらくは、(従来の)秋葉原の風景とも言える石丸電気の赤い看板は残りそうだが、今後の動向は分からない。それでも、少なくとも関東ではエディオンブランドなんてまったく浸透しておらず、「石丸電気」の知名度のほうがずっと上のはず。なんとかうまく立て直してもらいたいものだが。

<参考記事>
・エディオンと石丸電気が資本提携 -ITmedia News
・石丸電気、秋葉原地区で一斉リニューアル - ITmedia News
・家電Watch:エディオン、石丸電気など関東地区の子会社をエイデンへ移行


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2006.01.23

ライブドア堀江社長ら逮捕

すでにテレビ等で報じられているが、ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は23日、同社社長の堀江貴文容疑者(33)ら4人を同法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕したという。

 それにしても報道(というか中身はほとんど「ワイドショー」)を見ていて感じるのは、一連の堀江社長の発言のなんと空虚なこと。

 彼のこれまでの発言は数々あるが、なんといっても個人的には、例のニッポン放送の買収問題関連が印象的。
 当時自分も、ここで「ホリエモンは、結局ラジオをどう変えたいのか」というタイトルで取り上げたが、あのとき感じたある種のうさんくささは今読み返してみても、変わっていない。

 他のことは詳しくは分からないが、少なくとも彼がラジオというメディアに対して発言した中身は、当時もたいしたことがなかったし、その後も結局変わらなかった。もちろん、彼のラジオに対する関心なんてなかった。
 なんのことはない、大方の予想どおり、狙いはフジサンケイグループだったわけで、ニッポン放送はそのための手段。それならなぜ「ラジオに対する関心」などと見え透いたことを言ったのだろう。この時以来自分は、ホリエモンが何を語ろうと一歩二歩引いた目で見てきたことは確かだ。
 
 というわけで、今回の逮捕も「ああやっぱりいつかはそうなるんだなぁ」という感じの感想しかない。

<ラテログ内関連記事>
・ホリエモンは、結局ラジオをどう変えたいのか


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2005.06.18

ひどい駆け込み、ケガは自己責任と車掌放送

ラジオ、テレビで報道されたのかどうかは分からないが、こんな記事をみつけた。以下、NEWS@nifty:「○?×?…ひどい駆け込み、ケガは自己責任と車掌放送」(読売新聞).より。

 JR中央線国分寺駅で今月4日、東京行き快速電車の閉まりかけたドアをこじ開けて乗った男性客に対し、車掌が「駆け込み乗車は危険です。大けがをすることになります。それで大けがをしても、そちら(乗客)の責任です」と車内アナウンスした。

 これを聞いた別の乗客がJR東日本に抗議、同社は「言葉に配慮がなかった」と非を認め、車掌を指導した。だが駆け込み乗車は実際に事故につながる危険な行為。発車が遅れると運転士は、JR福知山線事故でもクローズアップされた「回復運転」を強いられることにもなる。識者は「利用者の側も、駆け込み乗車の危険性と、多くの人が迷惑を被ることを認識するべきだ」と指摘している。

 JR東日本によるとアナウンスをしたのは男性車掌(48)。同社は「あまりにひどい駆け込み乗車だったので、感情的になったようだ」と話す。

 駆け込み乗車で大けがしかねないのは事実だ。過去には、ドアにはさまれて転倒し骨折したり、衣類のすそがドアに挟まってホームから転落するような事故も起きている。

 駆け込み乗車による電車の遅れも深刻だ。山手線で仮に1駅で5~10秒ずつ遅れると、それだけで電車1本分の運転ができなくなる。JRのダイヤは最短10秒単位で刻まれており、運転士は遅れを取り戻すため、ブレーキのタイミングをずらすなど回復運転をする必要が出てくる。

 すでに多くの方がブログに意見を書いており、中にはこれを、列車本数の少なさからJRの体質論に話を持っていき、「JR東日本ってのは、国鉄の時代から何も改善されていないどころか、余計悪くなってるということだろう。殿様商売っていうのは、きっとこういうことを言うんだろう」という意見もあった(まるでJR西日本の福知山線脱線事故報道のマスコミの論調みたいで、ちょっとがっかりした。もちろん個人の意見なのでそういう意見もありだろうが。)が、概ね、注意したほうの車掌を支持する意見で、ほっとした。
 「サービス業としてはやはりマズイ」という意見もあったが、なんといっても安全に関わる部分である。何のためにアナウンスしているのかという目的を考えれば「お客様が事故に合わないため」であり、生半可なアナウンスでは本来ダメなわけで、事故が起きてからでは遅いのだ。

 今回の件でもう一つ引っかかるのは、「これ(アナウンス)を聞いた別の乗客がJR東日本に抗議した」というところ。こちらについても、多くの方がJR東日本への抗議は筋違いと感じているようだが、同感だ。
 「tonybinの二流人生」さんのところの6/18の記事「タテマエを要求して謝罪させる日本人」にも書かれているように、この「別の乗客」はいったい何を求めているのだろうか。「お客様」に対してその物言いはなんだ!ということなのだろうが、こういう本質と違うところにあるつまらない正義感が一番タチが悪い。そりゃ言葉遣いは丁寧なほうが良いに決まっているが、先にも書いたようにアナウンスの目的を考えれば危険防止にならなきゃ何の役にも立たない。

 また、JR東日本が『「言葉に配慮がなかった」と非を認め、車掌を指導した』という部分は、大なり小なり接客がある仕事をしていれば、(サービス業という立場から)JR東日本としてもそうする(謝る)より仕方がないのだろうな…と思いつつ、どうもしっくりこないし、こういうのも何とかならないものかと思う。
 この辺の感情については、「Fozyの独り言」さんのところの6/18の記事「怒る利用者、謝る企業。その両方にムカつく俺」にうまく書かれているが、「本気で反省しているわけはなく、波風を立てたくないだけ」で企業が謝ってしまうために、「(JR東日本に抗議した)バカは過ちを指摘できる識者ということになる」ということにイライラしてしまう、というのは、自分も同じように感じる。

 最後に、効果的な駆け込み防止策を提案しているのが、B-CHANさんの「STELLAR WIND blog」6/18の記事「駆け込み乗車を過激に防いでみる」。いや、実際にやったらダメだけど(笑)。

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2005.05.09

運転士や車掌などへの『暴行』等が相次ぐ

JR福知山線の脱線事故についての(というよりも、最近は事故そっちのけの「不適切」騒ぎだが。)マスコミ、特にテレビのあまりにも一方的な報道については、すでにあちこちで取り上げられているところだが、そんな中、とうとうこんな事件まで起きているという。

以下はYahoo!ニュース 運転士や車掌などへの嫌がらせ、事故後70件…JR西 から。

 JR福知山線の脱線事故後、JR西日本管内で、運転席後方のガラスに「命」と印刷された紙が張られたり、女性運転士がホームでけられ線路に落ちそうになったりする嫌がらせ行為が約70件も相次いでいることが、7日わかった。
 事故以降も後を絶たないオーバーランや不祥事も影響しているとみられている。

 西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)などによると、4月27日夜、JR東海道線の大阪駅に着いた新快速電車の運転席後方のガラスに「命」と書かれた紙が上下逆さまに張られているのが見つかった。同様の張り紙はこれまで計6回あった。
 今月6日には、大阪駅ホームで電車を見送っていた女性運転士が、男性に足をけられ、ホームから転落しそうになったという。

 このほか、▽東海道線・野洲駅で、男性駅員が「尼崎の事故でたくさん死んでいるのにJRは何をしてるんや」と言われ、顔を殴られた▽福知山線・宝塚駅で、若い車掌が乗務員室から引きずり出された▽大阪駅で、運転士がコーラの缶を投げつけられた――などが相次いでいる。

 このニュース、テレビ等でも特に見かけなかった(正直うんざりしていてちゃんと見ていないため、見過ごした可能性もあるが。)が、これが事実だとすれば、連日の「ボウリングが盛り上がっていたか」とか「懇親会がいくらのコースだったか」等という、くだらない話題を放送する暇があったら、よっぽど「事件」として取り上げるべきではないか。

 中でも、記事では事例があったというだけで何も触れられていないが、「女性運転士が、男性に足をけられ、ホームから転落しそうになった」とか「男性駅員が「尼崎の事故でたくさん死んでいるのにJRは何をしてるんや」と言われ、顔を殴られた」等というのは、一歩間違えれば非常に危険な事例であり、タイトルのような「嫌がらせ行為」なんて生易しいものではない。れっきとした「犯罪」だ。これらは本来道義的な問題である「ボウリング」等より、よっぽど大問題のはずなのだが、事実関係はどうなっているのだろうか。今まで特に取り上げられた様子がないのだが。
 ちょっとひっかかるとすれば、情報の出所が「西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)などによると」ということで、もちろん組合から情報がもたらされても全くおかしくないのだが、これは自社の社員と列車の安全運行に係る大きな問題であり、当局側から情報がもたらされてもいいと思うのだがどうなっているのだろう。それとも当局は把握していないのだろうか。

 上記の記事では、これらの事件は「事故以降も後を絶たないオーバーランや不祥事『も』影響しているとみられている」と、原因を他人事のように報じているが、一義的にはそうだとしても、センセーショナルな報道で、今回の事件(それも肝心なところ以外の、周辺の事象ばかり)を必要以上に煽っているマスコミに責任はないのだろうか。
 『も』に、マスコミの反省も込められていると思いたいところだが、どうだろう。

<追記・関連記事>
 JR福知山線脱線事故報道
 JR福知山線脱線事故に対する呆れたコメント
 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言

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2005.05.08

森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言

連日の福知山線脱線事故報道については昨日付の当ブログでもとりあげたところだが、さすがに、いわゆる「マスコミ側」にいる人たちの中でも違和感を覚える人が出てきているようで、5月6日に放送されたTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金・6時30分~8時30分放送)の中で、マスコミの脱線事故報道について触れられていたようだ。
 この番組の8時からのおよそ10分間は「日本全国8時です」という全国ネットのコーナーとなっており、この部分についての録音が聴けたので、その一部をご紹介する。ちなみにお相手は、このコーナーのゲストである小沢遼子。
(注・なるべく忠実に放送から書き起こしましたが、話し言葉のままでは分からない部分やトーンが伝わらない部分、単なる言い直し等については意図が変わらない程度に修正しています。念のため。)

(小沢)これ日本全国(で放送)ですけど、この放送はもうちょっと前から始まっているんだけども、その中で毅郎さんが、福知山線脱線事故の、あの聞いている取材の人達の態度は同業者としていかがなものかというようにおっしゃって、(ラジオを)聴いてる人達も「そうですねー」「そうだ」っていう反応をたくさん頂いているんですけど。 
(森本)ええそうなんですよ。
(小沢)あの事故でボウリング大会をやっていたなんていうのは、もうなんか「ええーっ」ていうような感じはしますが。
(森本)うん、たしかに会社の対応も、非常識だし。
(小沢)ええ。
(森本)それから記者会見もはっきりしないで非常にその、「記憶にない」とか、そういうことで終始したから(記者も)苛立ったことも確かだと思うんですが。…が。
(小沢・森本)それにしても、と。
(森本)…と、いうところが、僕にはあったんですよ。
(小沢)うん、だから要するにね。見ててね、あの事故はものすごく極端に報道が分かれてるんですよ。要するに事故の解明とかなんとかいうよりも、一人ひとりの人達の死んだ人達がいかにいい人達だったかみたいな個人的なエピソードをわんわんやって、で、親御さんの談話を聞いて。
(森本)ええ。
(小沢)これはもう「悲しい」「驚きだ」「どうしていいかわからない」「くやしい」とか、もう決まってるじゃないですか。それを延々と、あれだけの死者がでるから数が多いでしょ。お友達の証言だとかをわーわーやる。
(森本)ええ。
(小沢)で、一方では、とにかく会社が悪いというのは分かってるんだから、分かってるってのは変だけど、その対応が。これに対するこうなんていうの?無茶苦茶な浴びせかけ。これねー、見ててね、事故が悲しい以前にザワザワしちゃうんですよ。
(森本)そうなんですねー。まああの、いろいろメールとかファクスとか頂いたんですけどね、えー相模原の○○さんって方から。
「JR西日本のやったことは決していいこととはいえないんだけども、今や弱い立場になってしまった、そのJR西日本をいじめているのと同じだと。もう少し記者に対して教養と資質の向上と努力が必要じゃないか」と。
こういうご意見もありますし、(中略)千葉の男性の方からは
「いかにも弱者の見方という顔をしながら、こわもてに相手に迫る態度はどうしてなんだろうと。ニュースのワイドショー化の影響なんだろうかと。言葉の貧困を感じます」と。
ま、こういうご意見も頂いて、まあ、その、私はマスコミにいる人間ですから、天に唾するようなものなんだけれども、あえてまあ(番組で)言ったことに対して、常々感じた方が多かったのかなぁと。あらためて思いますねぇ。(後略)

 このあと、もっとマスコミは伝えなければいけない問題が多々あるはず、国に対してなど強いところには、あまり向かっていかない傾向がある、といった話の後、森本氏が以前自身が体験した経験(愛人スキャンダルのことであろう)に話が移る。

(森本)だいたいこの、相手に非があると、それから頭(こうべ)をたれているという場合は非常に強いですね。日本のマスコミは。
(小沢)そう。
(森本)これでもかこれでもかと叩きますね。
(小沢)ねー毅郎さん(笑)、毅郎さんはもうやられないと思うけど(笑)
(森本)あはは(笑)
(小沢)個人に切り離されちゃって誰も守ってくれない人は、叩くのよ。
(森本)あーありがとうございます。フォローしていただいて(苦笑)。
(小沢)あはは(笑)。ほら、福知山線だってボウリングだと守れないでしょ。
(森本)だから正義っていうものが、ま、その取材の根本にあるんだろうけど、そうすると、自分達が追及すべき相手が、まあその、弁明の余地がないというような場合は、あの僕なんかの所にも前ね、スキャンダルの時に取材きたんですけどね。「あいつを地獄に落としてやる」って言ったっていうんですよ。
(小沢)うん。
(森本)そのね、なんで僕はその記者に怨まれているのかなと(笑)。
(小沢)あっはっは。(笑)
(森本)あの人に僕は地獄に落とされるようなめにあわせたことはないなと。思いましたけどね、そういう気持ちになるらしいんですよ。
(小沢)はぁー。
(森本)「あいつを徹底的に打ちのめしてやるぞ」と。いうふうな、一種の何と言うかなぁ、敵愾心ていうか。そういうものがね、ふつふつと燃え上がるらしいんだな。これがいわば、あの記者たちのエネルギーになっているんじゃないかと。僕はそのときそう思いましたよ。そういうふうにしないと、できないものなのかなあと。
(小沢)なるほどねえー。(以下略)

 森本氏の場合、自分がマスコミの集中砲火を浴びた経験があるからこそ余計に実感しているのであろうが、マスコミ側にいる人達が、そういう感覚を持った上で取材・報道をしてもらいたいとつくづく思うとともに、森本氏があえて触れにくい部分に、自分の過去のスキャンダルも含めて言及しているところに、ちょっと感心した。

 まあこれも、自分がメインパーソナリティのラジオだからこそできる発言でもあるかもしれないのだが、注目度も高く、色々な事情が絡むテレビだと、なかなかここまで言及できないだろう。
 司会をしている「EZ!TV」(フジテレビ系・日曜22時~)では、5/8分でも「JR西日本あきれた“体質”実態」をとりあげるようなので、ぜひ一連の報道姿勢に警鐘を鳴らしてもらいたいのだが、あの番組の普段の傾向からして、あまり期待はできなさそう。VTRを変えることは無理だろうけど、せめてコメント等でそういう趣旨の発言をしてくれるといいのだが。

<参考>死ぬ間際にタイトル決まるかも:JR福知山線脱線事故(タケローStand-By編)

<追記・関連記事>
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2005.05.07

JR福知山線脱線事故報道

4月25日にJR福知山線で脱線事故が起こってからまもなく2週間になろうとしているが、あいかわらず報道がおかしな方向に向かっている。

 事故直後のまだ詳しい状況も分からないうちによく見られたのが、短絡的な原因決め付けはもちろんのこと、時刻表を映して「こんな短い間隔で走っているんですよ」「怖いですねぇ、やっぱり過密ダイヤは問題ですね」などという無責任なやりとり。では、あなたたちが東京のテレビ局へ向かう時に利用しているであろう首都圏のJR・地下鉄各線はどうなのだろうか。
 言うまでもなく、あの区間より頻繁に運転されている区間はいくつもある。「過密ダイヤ」という言葉に引きずられているのだろうが、いまだにこの論調は見かける。今回問題なのは、1時間あたりの列車本数よりも所要時分に余裕がないことであり、だから列車が遅れるとスピードを上げて定時運行にしようとするのだが、そういうプロセスを全然考えてしゃべっていないからおかしくなる。

 そして、最近は一連のボウリング、懇親会などの「不祥事」報道だ。
 ボウリングは普通に歓声が上がっていただの、何人が二次会へ行っただの、いくらのコースだっただの、酒は何人が飲んだだの、これが事故とどう関係あるのか、放送しているほうもアホラシイと思わないのかと逆に不思議に思えてしまう。

 JR西日本のほうも、あとでマスコミ側から「こんなのもあったのに隠してた!」と叩かれてはかなわんと思ったのか、それともやけくそなのか分からないが、休暇をとって韓国旅行へ行っていた人や、駅主催のお客様との企画旅行や大阪から遠く離れた金沢や米子の事例まで自ら「不祥事」として公表し、またそれらをすべてひっくるめた人数で鬼の首をとったかのようにテレビ等が報道。もう事故なんてどこかへいってしまっている。
 これらが勤務時間中に行っていたり、召集がかかるような部署であるなら「不祥事」だろうが、すべて非番や休暇中のことであり、「不謹慎」ではあるかもしれないが、「不祥事」といってよいものか。(いくらJR西日本管内とはいえ、大阪から遠く離れた地区の人たちがその日に懇親会や送別会を開いても不謹慎とも思えないが。)

 そんなことを垂れ流している時間があるなら、事故を防ぐにはどうしたらよいかとか、こういうことに至った背景はどんなものであるかといったことを取材するとか、他の国内外に起こっている様々なニュースを報道すべきではないかと思うのだが、どうもそうはならないようだ。
 以前も当ブログでニュース番組の「ニュース番組」という形をとった「ダラダラワイドショー」化を嘆いたことがあったが、こういう事件が起きた時も、結局、悲しみにくれる遺族や故人の生前の業績等を見世物(というより晒し者だと思う。)にして悲しいBGMをつけた「お涙頂戴」映像と、記者会見で頭を下げるJR西日本幹部への記者の恫喝・罵声(あんたは遺族の関係者なのか?)映像、そして土地勘もなく事情もよく分からないキャスターとコメンテーターの無責任で感情的なコメントのやりとりで水増しして放送しているだけで、やっぱり時間拡大する意味がなかった。民放各局のニュースはもちろんのことなのだが、最近はNHKですらこういう傾向なのはうんざり。

 こういうマスコミの報道に違和感を覚えている人はあまりいないのかと思っていたが、多くのブログ等で同様の感想を書いている方がいてちょっとほっとした。

<追記・関連記事>
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2005.04.25

JR福知山線脱線事故に対する呆れたコメント

25日に兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口―尼崎駅間で起きた、宝塚発同志社前行き快速電車の脱線事故については、午前中からテレビ・ラジオともに特別番組を組んで報道していたようだが、夜10時からの夜ワイド枠においても、TBSラジオは「アクセス」の冒頭で、ニッポン放送は「ニッポン全国ラジベガス」の冒頭でそれぞれ20分程度、ニュースや現地からのリポートに切り替えて放送していた。(「ラジベガス」のほうは、番組途中でも再びニュースを入れていた。「アクセス」のほうは不明。)

 「アクセス」はTBSの記者、「ラジベガス」はラジオ関西の記者のリポートを入れるなど、どちらも力を入れていたが、それに水を差すようにどうしようもなかったのがこのニュースにコメントを述べていた2人だ。

 「アクセス」のほうは月曜レギュラーの田中康夫。
 事故に対するコメントを求められて、「JRは民営化したと言っているが、何も変わっていない」から始まり、「飛行機は東京から札幌へ行くのに複数(会社)の選択があるが、例えば東京から長野へ行くにはひとつしか選択肢がない」だの、「サービス業はどこでもサービスを受けてから料金を払うのに、JRはお客に運賃や定期券を6ヵ月分も先払いさせて、たいしたサービスもない」だの、もう訳が分からない支離滅裂なコメント。
 長野規模の都市に新幹線を平行して走らせること自体が非現実的は話であり(ちなみにバスは時間も違うから選択肢としては別だ、等と、更に訳の分からない注釈までついていた。)、比較になっていない。また、定期券代を後払いできる鉄道がどこにあるのか。田中知事も絡んでいた「しなの鉄道」は6ヶ月定期券は乗った後に払う後払い方式だったのだろうか?まったくそんなことはない。
 田中康夫がJR(東日本も西日本も一緒くたなのも無茶苦茶なのだが。)が嫌いなのは良く分かったが、そもそも今回の脱線事故とは何の関係もない単なる悪口と言いがかりであり、本人が大真面目にしゃべっているだけに、なおさら「アホらしい」の一言に尽きるコメントだった。

 一方「ラジベガス」のほうは、「レールウェイ・ライター」の種村直樹。
 こちらは電話による出演だったのだが、最初から、まるでお酒でも飲んでいたかのように会話に間があき、何だかろれつが回っていない状態。無音部分で放送事故にならないよう、スタジオが一所懸命場繋ぎしていたのが滑稽だった。加えて「事故の原因をどう考えているか」という質問に、間をあけた後、「えー、大きな事故は委員会を作ったりして、国土交通省も調べるでしょう」という、答えになっていない答え。
 続けてのコメントがまたよく分からない。「僕は昔関西にいましたが、あの線路は僕がいたころと変わっていない」等と言い出し、何を言うのかと思ったら、「阪神大震災のときに伊丹駅を高架にしましたが、あの線路が高架だったら、今回の事故はなかった」等と言い出した。どうして高架線なら今回の脱線事故が起きなかったのか、まったく意味不明だ。それどころか、場合によっては脱線して高架から転落してもっと大惨事になっていた可能性だってある。さすがにスタジオも聞いてもしょうがないと思ったのか、早々に会話を終わらせていた。
 種村氏は元毎日新聞記者で、フリーになってからは良くも悪くも多くの鉄道に関する本を出してきた人なのだから、たとえ技術に明るくなくてその方面ではコメントできなくても、事故原因なんかどうでもよくて大騒ぎしたいマスコミ報道に対して一言述べるくらいあってもよかったはずだが、それ以前の状態でほとほと呆れた。
 その後に見た、TBSテレビに出ていた曽根教授あたりは、質問するほうが原因を単純化(運転士が経験浅いからだ、とか、カーブがキツイから脱線した、とか)煽り立てているときに、「そんな単純なものではない」と、その辺慎重にコメントしていたから、余計差が目立った。

 「無理してコメントをとらなくても…」とつくづく思った2番組だった。

<追記・関連記事>
 JR福知山線脱線事故報道
 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言
 運転士や車掌などへの『暴行』等が相次ぐ

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2005.03.06

ホリエモンは、結局ラジオをどう変えたいのか

 2月27日放送の「伊集院光日曜日の秘密基地」(TBSラジオ・午後1時~)のスペシャル企画、「ニッポンのもしもを考えようSP!」の中で、「もしも、ライブドアがニッポン放送を買収したら、ラジオはどう変わるのか?」というテーマがあった。
 常々この話題でもちきりの昨今なのに、「ホリエモン」こと堀江社長に肝心のこの点を聞いてくれる番組がなかったところであり、興味深く聞いたのだが、、、。
 はっきり言って伊集院がホリエモンの話を膨らませて話として完結させたために、それらしいことを言ったように一見聞こえるが、相変わらず何も具体案はないのだということを再認識しただけだった。

 最初に伊集院が「番組がどう変わっていくのか」を聞いたのだが、ホリエモンの最初の答えが、今まで唯一出ている具体案「ラジオ局のポータルサイトは番組情報だけでせっかく見に来た客を逃すのはもったいない、ここで買い物が出来るようになれば、リスナーも便利だし放送局ももうかる」(注・録音しているわけではないので、こういう趣旨の話をした、ということ。以下同じ。)という、例の総合ポータルサイト化の話。

 それって、物販やポータルサイトが繁盛するだけで、ラジオ番組自体は関係ないじゃないの?
 
 この時点で「はぁ?」なのだが、次に出てきたのが、「ネット上で番組をいくつも作って放送し、ランキングをつける、その上位のものを電波で放送する」という入れ替え制の導入プラン。
 これは昔、少年ジャンプがハガキによる読者投票をやって、ランキングが低いものは容赦なく連載打ち切りとする似たようなことをやっていたが、短期的にはよかったものの、読者の評判を意識しすぎた内容が露骨過ぎたのか、結局は読者の不評を買い、部数も停滞してしまったと記憶している。
 それはともかく、ネットラジオがどれほどの物なのか、ホリエモンは聴いたことがあるのだろうか。ごく一部にはプロ顔負けの面白い放送もあるだろうが、現行の放送を押しのけてまで聴きたいような放送はそうそうない。

 音楽を流しているだけならともかく、特にトークについては、なんだかんだ言っても訓練を受けたプロは聞きやすいし、最低限の仕切りは必要なのだ。昔バブル華やかな頃、いわゆる大学の放送研究会系のメンバーが企画しトークする形式の放送を試みた例がいくつかある(KBS京都の「フリーキャンパスKYOTO」やABCラジオの「ラジオシティ」など)が、実際問題としてトークは聴くに耐えなかったし、企画はダラダラ。案の定、ことごとく半年以内になし崩し的に元のスタイルに戻っている。

 例えば「オールナイトニッポン」の1枠をそういう企画の優勝枠にして放送するというくらいなら分かるが、放送は365日、日曜深夜を除き24時間放送なのである。それを競わせるどころか埋められるだけの放送なんて、集まりっこない。
 タレント事務所などが番組を自社製作し、タレントごと売り込むような話もしていたが、1回ないし数回の企画ならともかく、ラジオで放送されるまで(それも、「ランキング」だから、放送される保証はないのに)毎週毎週カネと手間をかけて、ノースポンサーで番組制作するような奇特な会社がどこにあろうか。
 しかもこれは突き詰めれば、放送局の自主編成・自社製作を放棄するということであり、放送局がただの「電波の時間貸し屋」に成り下がる、ということにもなりかねない。

 もともとホリエモンがニッポン放送に目をつけたのは、ラジオに興味があるからではなく、フジ・サンケイグループに関心があるからであって、それなら一貫してそう言えばいいと思うのだが(世間もホリエモンが「ラジオ局を変革したいから」なんて思ってないのは、冒頭に書いたようにホリエモンに「ラジオがどう変わるのか」を誰も聞かないことをみても明らかだし)、それを変に中途半端なラジオ変革論などを持ち出すから始末が悪い。加えて、オキラクでいいよね?さんのところでも触れられているように、説明が断片的でその奥が見えてこないものだから反発を買うのだろう。
 こういう状況を見る限り、別にニッポン放送リスナーでなくとも、少なくとも多少なりともラジオを聴いている人たちから見れば、今のホリエモンの発言や構想に対しもろ手を挙げて賛成する人は少ないのではないかと思う。

 舞台が裁判所へ移ったこともあってか大きな動きがないこの頃だが、果たしてニッポン放送の行方はどうなるだろうか。ホリエモンの下でニッポン放送が良くなるとも思えないのだが、かと言って、ここ数年のニッポン放送も多くのリスナーが首をかしげるような番組編成をしてきたことは否定できないと思う。これを機に、各局競い合ってラジオが活性化されるといいのだけれども。

(3/6追記)
 2月12日の記事「ライブドアのニッポン放送株取得でラジオは変わるか」を今読み返してみると、この時から約1ヶ月が経とうとしているのに「ラジオ自体がどうなるか」ということに限って言えば、ほとんどと言っていいほど新しい情報が出て来ていないことが分かるが、ニッポン放送社員の声明文を受けて、また多少なりともラジオに対する愛情をひけらかそうとでも思ったのか、自社サイトの記事で「リスナー重視のアイデアも披露した」などという記事を載せている。

 これも含めて、これまでのライブドアというかホリエモンに対する感想は、「こっそりとおひっこし」さんのところの記事が実に的確に書かれているので、ぜひ参照していただきたい。
 まあ、やはりホリエモンはラジオそのものには関心がないんだろうなぁ。。。

(2006/1/23追記)
・堀江社長らが証券取引法違反容疑で逮捕された。こちらへ→ ライブドア堀江社長ら逮捕




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2005.02.25

ライブドア関連報道に見る、ニュースの見方

 今週、一連のライブドアによるニッポン放送株取得問題で、今までほとんど沈黙に近い状態だったフジテレビが、大々的に動いた。

 …と言っても、「新株予約権」自体の話ではない。ライブドアによるニッポン放送株取得問題について、初めてと言ってよいほど自社のニュースでまともに取り上げたことだ。
(ちなみに報道しようとした内容については、またまた、まとまっているこちら→ さにぼー@のほほんblog を見ていただきたい。)

 これまで、これだけ世間で話題となり、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等が大々的に取り上げてきたニュースを、フジテレビ系のニュース番組ではまったくと言っていいほど「無視」してきた。同業他社の取り上げ方もはしゃぎ過ぎな面も目立ち、それはそれであまり褒められたものではないと思うが、それにしてもニュースで一言も触れてこないのは結構不自然で、この問題に相当神経質になっていることを窺わせた。

 それが、2月23日夜放送のフジテレビ「ニュースJAPAN」はトップ項目で、しかも長時間を割いてフジ・サンケイグループの言い分を伝えた。今回の問題について、初めて正面から報じたと言ってもいいだろう。
 つまり、フジテレビのニュースは、自社グループにとって良い話ではない時はニュースとして報じず、反転攻勢に出た時にだけ重要なニュースとして取り扱っているわけである。

 フジテレビのニュースは、古くは「夢工場」のイベントから始まり、自社系列のイベントを、さも世間一般的な行事のようにニュース項目として取り上げる印象があるが、民放各局はもちろんのことNHKでさえも、自社に関係のあるイベントについてはニュースの最後に取り上げたり特集コーナーで取り上げたりしており、今更報道が偏っているとか騒ぐことではないと思うが、今回のように極端になれば、今まではなんとなく「どこの局でニュースを見ていても、ニュース番組というものは公平、中立に報道しているものだ」と思っていた人でも、そんなことはない、ということに気づく良いきっかけになったのではないか。

 例えば新聞でも、大きく分けて朝日・毎日と読売・産経とで同じ事件を取り上げてもトーンが違うように、テレビもまた、それぞれの社の事情・考え方があって、当然取り上げ方は違う。
 視聴者の立場では、ニュースを見るときには、そこに取り上げられている物事や考え方だけが全てではない、ということを頭の片隅に置きながら見ていくほうがいいに違いない。


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2005.02.23

東京メトロもラジオ受信を、災害対策で在京各局が要望

 YOMIURI ON-LINEによると、在京ラジオ各局が、地震などの災害対策として東京メトロ(元営団地下鉄)の地下鉄内でラジオ受信できるよう、国に対策を要望し始めたとのこと。しかし、巨額の設備費が問題となり、見通しは不透明だという。
 情報元:YOMIURI ON-LINE / 芸能・文化

 リンク先の記事にあるように、現在東京メトロのトンネル内ではAM、FM放送とも聞くことができない。一方、都営地下鉄は全線でAM放送が受信できる(ことになっている)。
 なぜラジオが聴けないの?携帯電話だってつながるのに?と思われる方もいらっしゃるかもしれないが(分かっている人にはごく当たり前の話なのだが)、ラジオも携帯電話も電波を使っているため、トンネルで遮蔽されている地下鉄内は地上の電波が入らないからで、駅の入口付近など地上から電波が漏れて入ってくるようなところを除いて、本来地下鉄では携帯電話も使えないのだ。

 それがなぜ携帯が使えるかというと、駅ごとにホーム等にアンテナを設置して電波を中継しているからで、同様に「都営地下鉄は全線でAM放送が受信できる」というのは、地上で受信した電波を、駅だけでなくトンネル内に引いたケーブルから電波を再送信しているからなのだ。
 記事によると、これらの設備には巨額の費用がかかるために東京メトロも慎重だというが、都営地下鉄の場合は、やはり「都営」としての災害対策の観点と、地下鉄としては後発ゆえのお客様サービスの観点から導入したものと思われる。余談だが、都営では各駅構内において無線LAN設備を構築して公衆無線LANサービスも始めようとしており、なかなか積極的である。

 今回各局は「災害時」の情報提供手段として要望していて、もちろん災害時のラジオの有効性は言うまでもないのだが、同時に普段から朝夕の通勤時にラジオを聴いてもらいたいという思惑もあるのではないか。
 確かに今でも長距離通勤のお供に朝の電車の中でラジオを聴いている人は多く、何も災害時でなくとも、地下鉄線内でラジオが聞ければありがたいに違いない。

 ただ、最初に「受信できる(ことになっている)」と、あえてカッコ書きしたのは、全体にいまひとつ使いにくいからなのだ。

 電波は確かに入ってきているが、現状では電車の走行音自体が大きく(特に地下はトンネルで反響するためうるさい)、トーク主体のAMラジオ番組は、音楽と違って相当イヤホンのボリュームを上げないと会話が聞き取りにくいこと(かと言って会話が聞き取れるほどまで音量を上げると、相当耳に良くない)、また、車両によってはモーターや集電装置(パンタグラフ)からのノイズが大きく、これまた番組の最中に突然強烈なノイズが聴こえてくると、とても落ち着いて聞いていられない。
 時折学生が、走行音に負けずにメロディに没頭したいためなのか、となりに座っていると洩れてくる音だけで何の曲を聴いているのか分かるぐらいの大音量で音楽を聴いていることがあるが、あんなふうに「難聴まっしぐら」みたいなことはしたくない。改善はなかなか難しいのだろうが、単に電波事情だけでなく、このあたりの事情も考慮してもらえるとありがたいのだが。

(余談)
 都営新宿線に最近新車が入ったようで、この前乗る機会があったのだが、整備のされていない自転車のような騒々しいブレーキ音?にびっくり。普通に会話をしていた乗客にまで「ずいぶんうるさいねぇ、この車」と言われていて残念だった。あれでは正直ラジオを聴くどころではない。走行中は今までの車両より静かな気がするだけに惜しい。

(余談9/11追記)
 先日同じ車両に乗る機会があったが、ブレーキ音はかなり緩和されていた。かなり整備がされたのか、走りこむうちに収まるものなのかは分からないが、乗客としてはなにより。


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