ABCラジオ、夏の番組改編を発表~平日夜ワイド枠から事実上の自社制作撤退
すでに同局の朝の看板番組の一つ「全力投球!!妹尾和夫です」の番組中の発表をはじめ、ネット上でもいくつか書き込みで情報が流れていたが、大阪の朝日放送(ABCラジオ)の7月の番組改編が正式に発表された。まずはこのニュースを報じたSANSPO.COMの記事から。
ABCラジオ、夏の番組改編を発表
2009.6.20 11:01ABCラジオは19日、大阪市福島区の同社で夏の番組改編を発表。1966(昭和41)年の「ヤングリクエスト」以来自社制作していた平日午後10時以降の深夜帯から、金曜の約2時間を除いて“撤退”する。
放送中の「ミュージックパラダイス」(月~金曜後9・12)に代わり、7月6日からニッポン放送「銀河に吠えろ!宇宙GメンTAKUYA」(月~木曜後10・0)、文化放送「レコメン!」(月~木曜深夜0・0)、TBSラジオ「JUNK」(月~金曜深夜1・0)などをネット。川崎宏ラジオ局長は「若者層が東京の情報を求め、東京のタレントに対する興味を膨らませている傾向にあるため」と説明した。
8年目を迎えた午前の看板番組「全力投球!!妹尾和夫です」(月~金曜前9・0)も6日から「ドッキリ!ハッキリ三代澤康司です」に代わる。
短い記事ではあるが、これまでの歴史を踏まえた上で、さりげなく今回の改編の特異さがきちんと説明されているのが前段の部分だ。
今回の改編は、確かに7月の大幅改編という例年見ない改編ではあるが、今回のポイントはそこではない。元々東京からのネット受けよりは自社制作へのこだわりがあり、なおかつ聴取率は決して悪くないABCが、歴史のある自社制作を捨ててこれほどまでにベタに東京からのネットを受けて枠を埋める行為に出たということが、今回の改編の重要なポイントだと思う。
かつての深夜放送ブーム以来、各局で自社制作の夜ワイドが花開いたが、ラジオ聴取率の低下、特に若者層がラジオを聴かなくなって、自社制作番組は次第に縮小。そんな中で、地方局へのネット前提の「オールナイト・ニッポン」の3部制(当時の1部に当たる「allnightnippon super」が夜10時スタートだった)が開始したことで、夜10時台のローカル番組はほとんどトドメを刺された感があった(※1)。
そんなわけで、失礼ながら他の地方局が夜帯をネット番組で埋めてもさほど驚きはしないが、なんといっても今回は自社制作の歴史があるABCである。
ABCは、記事にもあるように「ABCヤングリクエスト」以来ずっと夜帯に自社制作の番組を放送し続け、25時台にホンの一時期、TBSの「スーパーギャング」をネットしたことがあるが、それもすぐやめて自社制作に戻したくらいの局なので、元々関東からのネット番組があまり無い局というイメージがあり、ネット受けするなら「ヤンタン」(平日枠)終了後、夜帯の聴取率が振るわないMBSが先に手を出すものと思っていたから、ABCのほうが先に「陥落」してしまったのは正直意外だった。
それにしても今回の改編で「何だかなぁ」と思うのは、今回の改編がどうみても「前向き」な改編でないのがミエミエなこと。ま、実際「前向き」ではないので、仕方ないのだろうが…。
25時台の「JUNK」のネット受けは「JUNK」の番組自体に人気が有る上、ネット局の少なさゆえに放送を待ち望んでいたリスナーもいるであろうことから納得する部分もあるのだが、問題は22時台の「銀河に吠えろ!宇宙GメンTAKUYA」で、この番組、大変申し訳ないが、お膝元の関東でもまるで話題に上らない番組なのだ。
仮につまらない番組ならアンチリスナーの書き込みくらい見かけても良さそうだが、それすらほとんど見たことが無いのだから、ある意味もっとツライ状況な番組なわけで、ましてやこの番組、お隣のラジオ関西でネットされていて既に関西の多くの地域では聴けているとなれば、リスナーから見れば今回のネット受けのありがたみはあまり無く、一方で、ネット受けすればスポンサーが付いてくる番組と言うわけでもないようだから、今回のネット受けは、要するに「穴埋めできれば何でもいいのか」とさえ思えてしまう。
加えて6月20日の発表に合わせ、ABCラジオのページにも改編情報が掲載されたが、どの番組も出演者の名前と顔写真、放送時間帯が書かれているだけで、番組説明は一切なく、どんな番組が始まるのか、始めようとするのか分からない。東京からのネット番組についても同様で、キー局にある番組ホームページへのリンク一つすらないのだから、ちょっとどうかと思う。
ラジオ局長がいう「若者層が東京の情報を求め、東京のタレントに対する興味を膨らませている傾向にあるため」という説明は、まぁ、こう言うしかなかったのだろうが、それにしても…という感じがしてしまった。
なお、唯一金曜だけは自社制作を続けるようだが、これは夜帯の歴史を完全には消さないという制作陣の意地なのか、現実的な問題として「育成枠」として一つくらい夜帯の番組を残しておかないと制作能力までなくなってしまうことへの危惧なのか、恐らく両方の意味合いがあるのではないかと思うが、ここはぜひとも頑張って欲しいところ。
嘆いてばかりでもなんなので、最後に「聴いてみたいなあ」と思う番組を一つ挙げると、土曜日の昼(13:00~)放送の「楠淳生のやんちゃな!weekend」。
これも、現行の「ABCフレッシュアップボックス」の番組変更みたいなものだが、かつて「☆☆倶楽部」や「ABCラジオジラ」、「ABCラジオファンキーズ」で大岩堅一氏との「ケンクス」コンビの放送を聴き、今も福本豊氏との、俗に「居酒屋中継」を聴くのを楽しみにしている自分としては、一度聴いてみたい番組。放送時間がお昼のため、ここ関東では遠距離受信しても聴くことができないのが残念なところだ。
(※1) その後、「3部制」の失敗以降のLF制作の夜10時台(俗に「super枠」)の番組のあまりの不甲斐なさに、再びネットを止めた局もあるが、そんな枠の番組を今回ABCはネットするわけである。
<参考>
・abc1008.com ABCラジオ 2009年夏の番組改編 (公式ページ)
・ABCラジオ、夏の番組改編を発表 - 芸能 - SANSPO.COM
SANYO ICレコーダー「ポータブルラジオレコーダー」 (シルバー) [ICR-RS110MF(S)] 三洋電機 2008-11-21 売り上げランキング : 259 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 固定リンク
コメント
あまりにショッキングでしばらく言葉が出ませんでした。たちの悪い冗談かと何度も読み直してみましたが、ほんとうなんですね。
ラジオ大阪ではなく朝日放送がこんなことになってしまうなんて。新社屋を建てたことが重荷なのか、ラジオ冬の時代だからなのか(『日刊サイゾー』webに掲載された大西ユカリさんのインタビューで大阪のラジオも苦しいということを聞きかじってはいましたが)。
昨春「ABC発午前1時」を一晩だけ聴いたときの私のblogのURLをつけておきますが、あのときの感じなら1時3時の枠はTBSからのネットでもいいかという気はします。しかし22時からネット番組とは。
なるべく早い時期に地力を取り戻し自社制作番組が作れるますよう、心よりお見舞い申し上げます。
JUNKはABCでJUNK2はMBS。ANNは1部はOBC、2部(R)はCRKとKBS京都、0部がCRKとABC。まさにゴチャまぜっ! 笑えないか。
投稿: | 2009.06.21 19:56
普段、妹尾ネタが大好きな木曜の征平さんも、
なぜか先週は一切、妹尾の話題に触れることは
ありませんでした。
呆れてモノも言えません。
夜のラインナップもひどいですよね、
まぁJUNKは聞くかも知れませんが・・。
投稿: とくながたかのり | 2009.06.21 21:32
あっ、名前を入れるのを忘れてる。
19:56の名無しは私です。
どうもすみません。
ついでにトラックバックも入れさせていただきました。
投稿: みむめも | 2009.06.22 03:39
みなさん、コメントありがとうございます。
本文にも書きましたが、今回の改編はあのABCがここまでやるか(やらなければならないのか)、という感じがしますね。25時枠はともかく22時台の自社製作放棄は驚きました。
まあ、テレビのほうもアシスタントを局アナに切り替えたり経費節減が明らかになってきていますから、全体として相当苦しい状況なのだとは思いますが。
リスナーの立場から危惧するのは、これである意味押さえが利かなくなったと言うか、今まで無理してでも?自社製作にこだわっていた在阪局が一気にネット受けに走るのではないか、ということで、MBSも秋改編あたりからTBSのアクセスをネットするのではないか…という気がしてなりません。
今回は夜帯の話ですが、そのうち(在阪局だけでなく)昼や朝も地方のFM局のように東京からのネットに頼るようになってしまうような事態にならないと良いのですが。
投稿: tabo | 2009.06.23 22:59
在京局制作番組をネットしないと経費削減できなくなってしまった朝日放送ラジオの現状がようやく分かりました。
やっぱり、北野誠の事件による「サイキック青年団」突然打ち切り→朝日放送の『音楽事業者協会連盟』からの脱退(除名)が影響していると思われます。さらに朝日放送テレビの赤字分を埋めるために朝日放送ラジオも責任を背負うことになったからではないのでしょうか?
ここまで来ると、高齢者に好評の『(NHK)ラジオ深夜便』の牙城を壊さないと無理なのではないのでしょうか?
あと、MBSラジオで「アクセス」をネットできない理由として毎日放送の人気番組プロデユーサー「神津梓」氏を無視する編成をすれば、他の部署へ飛ばされたり、更迭させられたという時期があったからという説もあるそうです。(キーワード「大森玲子(現・相原玲)」「オレたちやってま~す」「アクセス」)詳しいことは検索してみて下さい。それからJRNのニュース番組ネットワークの大阪地区受け局はMBSラジオです。
ABCラジオはニュース番組以外でのJRNネットワーク番組の大阪地区受け局ですが。
投稿: すべては「ラジオ深夜便」の牙城を壊すのが先? | 2009.06.25 00:14
まあ、こちら関東圏でも、在阪局やTV局に限らず、アシスタントが局アナになってひさしいですね。
GメンTAKUYAはFM東京系列の同時刻のネット番組、教頭と校長の番組みたいですが、いずれも面白くありません。
TV見るか風呂入るか、はたまた風呂でNHK第一のニュースワイドを聞くかでしょう。もっとも昨今のタワー型マンションではラジオの電波さえ遮ってますからね。
投稿: 温泉音楽男 | 2009.07.08 17:00
昨日「ミューパラアグレッシブ」の初回だったそうですが、伝統の阪神対巨人戦の試合が大幅に長過ぎて夜11時30分スタート、11時57分終了という第1回だったそうです。
開口一番「申し訳ありませんでしたー!!」でオープニングトークが始まりました。この先が前途多難の予感はします。
ちなみに昨日の場合はTBSラジオ(MBSラジオ制作)、ニッポン放送(自社乗り込みで実況がニッポン放送松本秀夫(ナイターオフシーズンだったら「松本ひでお」の方でお馴染みの)、解説があの板東英二さん)もこのカードを大幅に延長して放送していたので夜ワイドは軒並み裏送りか夜11時30分飛び乗りで放送していました。昨日の場合、ABCラジオ制作のNRN向けの野球実況は東京地区だけ未ネットだったそうです。(ちなみにその解説は岡田彰信・前阪神タイガース監督でした。)ラジオ日本もCRKは途中飛び降り(21:50頃?)、岐阜放送とラジオ日本は試合終了まで放送していました。そして、ラジオ日本の場合次の番組がミッキー安川さんだったそうです。(夜9時予定の番組~11時30分まで予定していた番組は全て休止に。)
投稿: すべては「ラジオ深夜便」の牙城を壊すのが先? | 2009.07.11 09:28
GメンTAKUYA
これなんとかならない。馬鹿じゃないか面白くもくそもない。レコメンのほうがずっとまし。
はやく消えろ
投稿: カミユファン | 2009.08.19 16:52
はじめまして。
JUNK聞きながら書き込んでます。
JUNKのネットは大賛成です。
しょうもない深夜放送やるんやったらJUNKネットする方が正解だと思っていました。
Gメンタクヤ やらんでもいいでしょ。
レコメンは別にしてこの時間帯は自社製作でまだいいですよ。
やるならアクセスをやるべきでしょうね。
投稿: サクラビト | 2009.08.21 01:48
秋改編の季節になりましたね。夜の「歌謡大全集」は今年もあるようで、音事協脱退の影響というのがさっぱり分からない状況は続いたままです(以前私のblogにも書きましたが同じ在阪局でもラジオ大阪は音事協の賛助会員ではありません)。
それよりも、偶然2ちゃんねるを見て知ったのですが、2年を目途にAMステレオ放送を辞めるとか(しかもMBSラジオは来春とのこと)。
大阪タワーは鉄骨を5mずつ切ってだるま落としのように解体するのだそうですが、将来この工法が朝日放送の末路のようだと言われたくないものですね。
投稿: みむめも | 2009.09.12 23:51
GメンTAKUYA
評判悪い。ABC殿自社製作に切り替えろ。ミューパラは社員だからギャラは高くないだろう。
TAKUYA 消えろ
投稿: 大目子 | 2009.09.24 14:44
判明している秋改編ABCラジオ新番組情報によると・・・・・・。
・ナイターオフのニッポン放送系NRNネット日曜21時枠連続ラジオドラマ今年は放送取りやめ→ABCラジオは引き続き「ダンディーサンデー」継続
・ナイターオフ平日定番の「歌謡大全集」の最長寿コンビ今年は出番なし。
などという情報が入ってきています。
新番組の詳細は一部ABCラジオのトップページからリンク貼れるのでそちらをご確認下さい。
って果たして来年の1月や4月は大丈夫か!?
投稿: 「ぼんくら」「ひぐらし」から続いてきたオフの連続ラジオドラマ今年オフはなしで確定。 | 2009.09.27 20:47