文化放送「キンキンのサンデー・ラジオ」今日で突然の終了
先日はTBSラジオの「コサキン」のラジオが終了するニュースがあったばかりだが、今度は文化放送の日曜昼の番組、「キンキンのサンデー・ラジオ」が終了のニュース。しかも、「コサキン」は改編時期の3月まで放送して終わるのに対し、こちらは今日の番組冒頭にいきなり放送終了の発表をして本当に今日限りで放送終了、新聞のラジオ欄にも「終」の文字がないくらい急な話というのだから尋常ではない。まずはこのニュースを報じた毎日jp(毎日新聞)の記事から。
愛川欽也さんのラジオ番組、突如終了 不況で名パーソナリティーが消えるラジオの深夜放送で人気者となり、現在もパーソナリティーとして活躍してきた俳優の愛川欽也さん(74)が15日、文化放送のレギュラー番組「キンキンのサンデー・ラジオ」の冒頭で突然、「きょうの放送で番組が終わります!」と宣言した。愛川さんは番組で、メーンスポンサーが昨年末で撤退し、後継スポンサーが付かなかったことなどが理由だと説明した。ラジオ番組では、若山弦蔵さん(76)が担当するTBSラジオ日曜正午の名番組「バックグラウンド・ミュージック」(1964年スタート)も、スポンサーの降板で3月末での終了が決まっている。ラジオ界を支えてきた名番組、名パーソナリティーが、不況の影響でラジオから消えることになる。
キンキンの愛称で親しまれ、いつも明るい愛川さんだが、この日の放送の冒頭は低いトーンで始まり、いきなり「きょうの放送で番組が終わります!」と宣言した。
新聞のラジオ・テレビ欄にも最終回の表示がないぐらい、突然の決定だった。来週はラジオ聴取率調査の週。局側も「せめて次週の放送を最終回に」と愛川さんに望んだようだが、愛川さんは「4月から次の(新)番組が決まっていた。そのことをボクが知ってしまった。知ってしまった以上、1カ月半も、お通夜のような番組をやることはできない」と番組で説明し、「最後まで明るく放送を終わらせたい」と話した。
愛川さんは70年代、TBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」のパーソナリティーを務め、歯に衣を着せないトークが当時の若者の心をつかみ、深夜放送ブームの立役者の一人となった。
「やっぱりボクはラジオ人間。この番組は息を引き取る瞬間までやりたい」と話していた愛川さん。自らスポンサー探しにも奔走したことも明かした上で、「スポンサーが付かなかったのは、ボクの力不足。これ以上話すとグチも出るので……。ただ、『11PM』が終わる時も、『なるほど・ザ・ワールド』が終わる時もさみしくなかった。今回のように腑に落ちないで番組を終わらせることは今までなかった」と無念さを吐露した。
今のテレビではなかなかできない政治や平和の問題についてもタブーなく直言してきた愛川さんだけに、リスナーからは「やめないでほしい」といった伝言が多数寄せられ、番組では愛川さんやパートナーの伊藤佳子(よしこ)アナウンサーの声が涙でつまる場面が何度もあった。
民放連研究所によると、民放ラジオ業界の今年度の営業収入の見通しは、テレビよりも減収の比率が高く、中短波は12年連続の減収見込みと、長期低迷が続いている。【油井雅和】
日曜は、朝10時からのTBSラジオの「安住紳一郎の日曜天国」が抜群に面白く、続いて記事中にもある12時からの「バックグラウンド・ミュージック」を挟んで13時からの「伊集院光の日曜日の秘密基地」を聴くというのが、自分の鉄板ラインナップだったので、残念ながらこの番組はあまり聞いたことは無く、TBSの「秘密基地」が終了し、その後に始まった「日曜サンデー」がどうにも自分には合わなかったためダイヤルを変えて時々聴いていた程度なので、「コサキン」の時のような番組自体への特別な感情はないが、それでもこんな形で番組終了となれば残念だ。
番組終了の直接の理由は、スポンサーが降りた後に新しいスポンサーが付かなかったことらしいが、TBSの「バックグラウンド・ミュージック」にしても聴取率の数字は良かったのにスポンサーが降りることで終了に追い込まれたそうだから、もはや番組存続か否かの基準は聴取率という数字ではなく、スポンサーが付くかどうか、スポンサーが付かなければ番組本やグッズ販売などで収入があるかどうかであり、ましてや長寿番組という看板や名物パーソナリティという財産では番組は続けられない、ということであれば、それが企業の論理とはいえ、リスナーという立場からすれば寂しい。
ただ、普段聞いていない自分が言う資格はないのは承知のうえで、ラジオのいちリスナーの立場で言わせてもらえれば、番組終了を当日発表するのは、ある意味番組に裏切られたような気持ちになるもの。
今はリアルタイムでメールで惜別のメッセージも送れるから、当日の発表でも、最後の放送にリスナーとして何らかの参加はできないことはないが、今日に限って用事等で聴けない人だっているだろうし、最後の放送となれば、録音しようとする人もいるだろう。即興のメールではなく、色々考えて最後のメッセージをハガキで送る人だっているはずで、そういう機会を奪ってしまう「当日サヨナラ」はどちらかと言えばあまり賛成できないのだ。
録音を聞いてみた限りでは、今回の場合、何も無ければ3月までは続投できるところを、愛川欽也さんの強い意向で今日限りとなったようで、局はせめて来週までやってほしい意向だったようだから、番組を降りるにしても、もう一週放送するという選択肢はなかったのかなぁとは思う。
恐らく愛川欽也さんとしては、自分は4月以降も番組を続ける意向でいたのに、自分の知らないところで次の番組パーソナリティとスポンサーが決まっていたというのがショックだったのだろうし、どういう経過でそれが本人に伝わったのか、局側のその辺の仕事のやり方もうまくないなぁという感じがするので、そんな状態で番組を続けられない、という気持ちは分からないではないのだが、やはり最低限、最終回の前の回までに終了の告知をして、最終回は最終回なりの心構えで聞かせてくれるのが、リスナーへの親切ではないかというのが、いろんな番組の終了を聴いてきた立場からの感想だ。
折りしも来週はスペシャルウイーク(聴取率調査週間)。この突然の穴を文化放送はどうやって埋めるのだろう。そんなことで注目度が上がって数字を取っても意味が無いが。。。あ、数字があってもスポンサーがなければ打ち切りなら、どのみち関係ない?(苦笑)
(追記) ニュース記事だけだと、なんだか険悪な雰囲気で番組が終了したようにも取られかねないが、番組を聴いた限りではそんなことはなく、番組自体は、パーソナリティーの愛川欽也さん、アシスタントの伊藤佳子アナウンサーともリスナーからの惜別メッセージを読み上げながら涙声になったり言葉に詰まったりするなど、番組自体への思い入れが感じられて、最終回らしい放送だったことは付け加えておきたい。
(2/18追記) 愛川欽也さんと番組スタッフとは何もなかったとしても、やはり局(会社)との関係は決して良いものではなくなったようだ。詳しくは、「文化放送「キンキンのサンデーラジオ」早くも番組ホームページ消去」を参照。
(参考)
・文化放送「キンキンのサンデーラジオ」番組ホームページ
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コメント
初めまして、マサボンと申します。
ボクも根っからのTBS派で、今となっては「お通夜みたいな」コサキンと弦さんの放送に聞き入っています。キンキンのラジオも聴いてみたかっただけに残念でなりません。
駄文失礼しました。
投稿: マサボン | 2009.02.17 02:49
マサボンさんコメントありがとうございます。
番組ホームページが消えたことを記事にしたあとにマサボンさんのblogも拝見させていただきましたら、すでにメッセージの再現がされてましたね。似たような記事になってしまいすみません。
コサキンと弦さんの放送ですが、特にコサキンは、まだまだお通夜の雰囲気にはならなさそうです。
最後を飾るべく「意味ねー」放送を存分にやって欲しいですね。
投稿: tabo | 2009.02.18 00:54
「ラジオ批評ブログ——僕のラジオに手を出すな!」を運営しているMasaruSと申します。
トラックバックさせて頂いたり、して頂いたりとお世話になています。
実は、私たちが発行している『ラジオ中毒』というミニコミ紙で「不況とラジオ」をテーマに臨時増刊号を出そうという企画を進めているのですが、ご参加頂けないかと思いご連絡させて頂きました。
「キンキンのサンデーラジオ」は外せない話題になると思っているのですが、最終回をちゃんと聴いたという方にぜひご参加頂きたいと思っている次第です。
書き下ろし、既にブログで発表したもの、いずれも歓迎致します。
ラジオ・ファンが趣味で作っているミニコミ紙ですので、本当に申し訳ないのですが原稿料はお出しできず、その上、3月末発行予定で、3月20日締め切りで原稿を募集しており、急で申し訳ないのですが是非ご一考下さい。
投稿: MasaruS | 2009.03.13 19:42