「ラジパラ」ようやく発売!<紹介・感想編>
『「ラジパラ」ようやく発売!』の続き。ということで<紹介・感想編>を。
表紙はコサキンのお二人。写真のポーズは、発売後まもなく完売した伝説のコサキン特集号(1987年6月号)を意識したものなのだろうか。(特にそれらしい記述はなさそうだが…)
メインの特集に入る前に「キミはラジオパラダイスを知っているか!?」と題して、1985年10月の創刊号から1990年8月の終刊号までの全部の表紙写真と記事内容の紹介が掲載され、月刊誌時代を振り返っているのだが、書かれている番組名や出てくるアナウンサー、タレント名を見るだけでなんとも懐かしくなる。自分自身途中から購入し始めたため全部のバックナンバーを持っているわけではないが、読み返すときには総索引の代わりとして役立ちそう。
さて、メインの特集は「TBSラジオ大研究」。「聴取率トップを独走する強さの秘密を探る」というサブタイトルがついているのだが、月刊時代の『ラジパラ』が発売されていた当時は、聴取率調査の王者といえば「ニッポン放送(LF)」で、TBSラジオはいくら頑張ってもLFにかなわなかった頃を知っているだけに、時代の移り変わりを感じる。昔からどちらかといえばTBSラジオリスナーの自分としては、嬉しいようなそうでないような複雑な気持ちも。
記事は2000年6月からの首都圏ラジオ聴取率の推移に始まり(余談だがこの数字の推移を見ていると、特集の意図に反して、TBSラジオが好調というよりも、ラジオ退潮の中でTBSラジオはなんとか踏みとどまっているが、LFが自滅しているような気がしないでもないのだが。)、TBSラジオを理解するためのキーワード、過去のノベルティ紹介をはじめ、『荒川強啓 デイ・キャッチ!』、『アクセス』、『唐沢俊一のポケット』について、それぞれ番組レポートと各番組のパーソナリティである荒川強啓さん、渡辺真理さん、唐沢俊一さんへのインタビューを掲載。このほか巻頭カラーで永六輔さんへのインタビューのほか、表紙にも出ているコサキンのお二人の「ラジオパラダイスを語る」もある。
メインの特集以外には、TBSラジオ以外の局とバランスをとるためか(?)、第2特集として「オールナイト(ニッポン)を振り返る」と題して、年代ごとのパーソナリティの変遷や斉藤安弘さん、笑福亭鶴光さん、上柳昌彦アナなど当時の出演者やLFの編成局の方へのインタビューを掲載。掲載されている年表を見ていると、昔は安定していたパーソナリティが、番組が迷走し始めた頃(「3部制」を取り始めた1999年頃)から目まぐるしく変わっているのが印象的。それだけ成果が出ていないということか。現在毎回改編が小規模なTBSの夜帯、深夜帯(現在の『アクセス』~『JUNK』枠)が、かつてはコサキン以外目まぐるしく変わっていたことを思い出すと隔世の感がある。
また、第3特集として「QRワイドの真髄に迫る」と題し、『吉田照美のやる気MANMAN!』、『玉川美沙 たまなび』をはじめ計7本の番組記事を掲載。
その他には「あの女性アナウンサーに会いたい」と題して、TBS小島慶子アナ、QR遠藤里沙アナ、LF新保友映アナ、CBC青木まなアナがカラーページで紹介されているほか、みずしな孝之さんのラジパラ復活を記念した漫画「いい電波」、CBC小堀勝啓アナとKBC沢田幸二アナの「私の大切な物」、元「クリアキャッチレスキュー隊」の隊長、先に紹介した、「ラジオNIKKEI From Webmaster」の執筆者である掛原雅行氏の「ラジオのこれからを考える」や、少し毛色の変わった記事としては、MBS千里丘放送センターの訪問記や都営地下鉄で行われているAMラジオ再送信のシステムの紹介記事などもある。
全体の感想として、インタビューやレポート記事など割と読み物としての記事が多く、恐らく手間はかなりかかっているんだろうなぁ、という印象。一方で力の入った記事の間に、「メール職人への道」という、なんというか下世話というか安っぽい(執筆者の方が読んでらっしゃったら申し訳ない)記事が混じるのは、ある意味かつての「ラジパラ」を彷彿させるような気も(苦笑)。
今回の記事は基本的に首都圏キー局の関連がほとんどで、地方の方には物足りないものかもしれないが、『ラジオDEパンチ』のように全国各局の記事を少しずつ載せようとするあまり総花的になって中途半端になるよりは良かったように思う。
ちょっと気になったのは、執筆記事のほとんど、というか掛原雅行氏の記事など執筆者の名前が載っている一部の記事を除き、ほとんど(全て?)薬師神氏が一人で書いているのではないかということ。文体というか記事のトーンが良く似ているのでそんな気がしたのだが真相は如何に。あと、最後のページ(146p)がやけに白々としてスペースが余っている感があるのだが、編集後記を載せるつもりが間に合わなかったのだろうか。
そして、誌名と表紙デザインだが、やはりここは誌名は『ラジオパラダイス』にしてデザインも極力当時のものにしたほうが良かったように思う。
なにせ皆が皆今回の復刊を知っているわけではない。復刊を知らなくてたまたま書店で目にする人や、復刊という話を聞いた程度の読者なら、記憶にある昔の表紙デザインのほうが目に付きやすいだろうし、私のように発売を分かっていて探す時も探しやすい。それに、本棚に横に並べられている時は、かつての表紙のように左上に赤で「ラジオ」と見えているほうが、他の雑誌の後ろに隠れた時も見つけやすいと思うのだがどうだろう。
『ラジオパラダイス』休刊時の木村編集長は確か、「休刊」と言っても復活することはないでしょう、という趣旨の編集後記を書いていらっしゃったが、休刊当時よりもラジオを取り巻く状況が更に厳しくなっているはずの今の時期に単発とはいえ発売までこぎつけたことをまずは喜びたいと思う。月刊とは言わないまでも、きちんと季刊ぐらいで復活してくれるといいなと思う。
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