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2005.06.15

「多重投稿のどこに問題があるんかいな」という感覚

ちょっと気になる記述を見つけた。放送作家、出版プロデューサーをしているという加瀬清志氏のサイト、「加瀬清志ドットコム」のうちの「ホンマかいな!?日記」6月6日分から、ちょっと長くなるが引用する。

(前半無関係なので略)そんなところに「余計なお世話メール」(そういう件名の)が届いた。
某ラジオ局の某アナウンサーが某リスナーがいろいろな番組に出していて複数読まれたらしい「私の誕生日をお祝いしてくださいメール」について非難したとかで「加瀬さんはどう思いますか?」というもの。
よく新聞の投書欄などで「二重投稿はおやめください」とか書いてあるアレだよね。
新聞の場合は他社との二重投稿という意味なんだろうけれど、同じラジオ局の違う番組の場合はどうなんだろうね。
チェックしなかった、もしくはチェックできないラジオ局のシステムに問題はないのかいな。そもそもそうした多重投稿のどこに問題があるんかいな。たまに同じラジオ局で一日に何回も同じ曲がかかることがあるけど、あれはいいんかいな。もしも問題があるのならそうしたことについての説明とか注意とかした上でのことなのかいな。
まぁ、それにしても、もしも本当にそのことをオンエアで非難されたとしたら、そのリスナーは相当傷ついちゃっただろうなぁ。誕生日が台無しってくらいにね。

 これだけだと分かりにくいが、某所の記述から補足すると、一人のリスナーが、とある地方FM局のあちこちの番組に「私の誕生日をお祝いしてください」というメールを送り、実際に複数の番組で採用されてお祝いされたのだが、あまりあちこちで同じメールが読まれたのか、その中の一つの番組のパーソナリティがそのことに触れ、「あなたは今日、他のいくつかの番組でもお祝いしてもらってましたね。 そういったことはよくないと思います」とリスナーへ苦言を呈したらしい。それを聴いていたリスナーが、以前、その「とある地方FM局」で仕事をしていた加瀬氏のサイトへ意見を求めてきたというものだ。
 
 加瀬氏はこれについて「チェックできないラジオ局のシステムに問題はないのか」と局側のシステムを問題にし、「そもそもそうした多重投稿のどこに問題があるのか」と、リスナーに注意したパーソナリティのほうを一方的に非難している。しかし、番組を聴いていた「その他大勢のリスナー」の立場に立てば、この感覚は非常に疑問がある。

 「誕生日をお祝いしてくれ」というくらいだから特定の一日の話なのだろうが、その日ラジオをつけていて、番組が変わるごとに、何度も同一人物から「誕生日なのでお祝いしてくれ」というメッセージが読まれたとしたら、本人以外のリスナーからすれば「またかよ」と思うのは確実で、聴いてて鬱陶しいことこの上ないのではないか。
 「ならば局が取り上げなければ良いではないか」というのは一つの意見だが、一日の番組の全ての投稿を通しでチェックしている局なんてないだろう。そもそも番組が違えばスタッフも違うはず。加瀬氏は放送作家だというが、局の同じスタッフが全ての番組にタッチしているとでも思っているのだろうか。しかも、「そもそも多重投稿のどこに問題があるのか」というくらいだから、「問題ない」ならチェック体制そのものが必要ないわけで。

 更に「同じラジオ局で一日に何回も同じ曲がかかることがあるけど、あれはいいんかいな」という記述があるが、違う問題を一緒くたにしているとしか思えない。
 同じラジオ局で何回も同じ曲がかかることはあるが、それは同一人物からの同じリクエストに応えているわけではなく、別のリスナーからのリクエストでかかったのだろうし、そうでなければ、いわゆる「プロモーション」で同じ曲が頻繁にかかることはあるだろうが、これは今回の問題とは別の話だろう。
 どちらにしてもあれを「多重投稿と同じではないか」と言うのは、素人が言うにしてもどうかと思うのに、業界にいる人間が真面目に言っているとすれば「ちょっとどうか」どころではないと思うのだが。

 そして後段で「オンエアで非難されたというリスナーがかわいそう」というトーンで締めくくっているが、そのパーソナリティが実際にどういう口調でどのようにリスナーに注意(それとも非難?)したのかは、オンエアを聴いてみないと分からないのではないか。
 加瀬氏に寄せられたメールがどのような文面だったかは知る由も無いが、仮に、放送での会話のトーンを一言一句忠実に文字に起こしてあったとしても(恐らくそんなことはしてないだろうが)、微妙なニュアンスを伝えるのは難しいということは、こんなローカルなブログをやっていたって分かるわけで、加瀬氏に寄せられたメールの文面だけで軽々にパーソナリティを非難できるものでもないだろう。
 確かに「注意(それとも非難?)するくらいなら採用しなければいいのでは」とも思うが、これも、放送で何のお祝いの言葉もなくただ非難して晒し者にしたのなら問題だが、お祝いはした上であえて「やりすぎは良くない」というトーンで言ったとしたら、また話は違ってくるので、一概に言えないと思う。

 それにしても、昔からラジオを聴いていた感覚からすれば、おんなじ文面を同じ局の番組に、二重投稿どころか多重投稿するなんて、他人から言われる前に躊躇したし(というか、そんなこと恥ずかしいことやろうとも思わない。するにしても限度と言うものがあるだろうに)、また、ちょっとニュアンスが違うが、他人のネタをパクって投稿することは「恥」という感覚があったと思うが、最近はそういう感覚もないのだろうか。
 しかも今回の場合、仮にも放送作家をやっているという加瀬氏にして「多重投稿のどこに問題があるんかいな」と御自分の公式サイトで断言していること自体にちょっと驚いた。

 かつては番組側も、パクリが発覚したリスナーは、匿名希望であってもパーソナリティに本名が晒され(今の時代だとマズイかもしれないが)、その後しばらく問答無用に採用停止されるなど、結構厳しい対応をしていた番組もあったし、聴いているリスナーも、それが当然だと思っていたものだが。。。

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コメント

いつも楽しく読ませてもらってます。
近年「私の誕生日をお祝いしてください」というメール・FAXがよく採用される自体、よっぽど投稿者が少ない=リスナーが少ないと思ってしまいます。特に地方局ではこうゆう類が多いですね。
メールで気軽に投稿できるのはリスナーにとってありがたい反面、二重投稿やおもしろさに欠けるネタが多くなってしまったと思います。

投稿: ラジオジャンキー | 2005.06.16 03:51

仮に司法に判決を委ねたとすると、
局側がリクエスト時の注意事項に二重投稿禁止を謳わず、リクエストを受け付ける体制であったとすると、
局側にリスナーを非難することは、リスナーへの謗言に当たると思われる。

禁止しなかったためにリクエストされてしまった場合、
それに気付いた時点で、局側が採用しなければよい話だと思う。

引用部分だけでは、加瀬氏の本意はわからないが、
同じ曲が数回掛かることと、同じメッセージが読まれたことについては、
同じと考えても妥当だと思う。
リスナーの主観や、音楽とメッセージという性質の違いはあるが、
同じ内容のものが複数回放送されることに、違いは少ないと思われる。

ニュース報道を考えた場合、同じ内容が繰り返されることは多い。
(イチロー選手が1000本安打達成、等)
さっき聴いたニュースが、1時間後に流れる場合も少なくない。
ニュースは公共性があるので許されるかも知れないが、
上記の例で、野球に無関心の者にとっては、全く邪魔な情報であって、
公共性の定義も難しくなるが…。

論点がずれてしまったが、質問者(誕生日をお祝いしてくれ者)は、
1番組じゃ採用確立が低いと思い、多数の番組に投稿し、どれかに採用されれば…。
と考えたとすると、心情的に解らなくも無い。
局のリクエスト状況はわからないが、思いのほか、高確率で採用されてしまった…
ということなのか。

局側の立場では、やはり、(柔らかいトーンでも)リスナーを批判する前に、
二重採用に気付いた時点で、放送を控えるのが懸命ではなかったのだろうか。

加瀬氏としては、(仮に)局側で二重投稿禁止を明言していないのであれば、
投稿してなぜ悪い?というのも、筋は通していると思われる。
内容が何かのネタではなく、自分の誕生日メッセージならば、
パクリでも恥じでもなく、全く問題はないと判断しても良いと思う。

ブログを持ち合わせていないため、
長文コメントになり、失礼しました。

投稿: 一読者 | 2005.06.16 16:01

皆さま、コメントありがとうございます。
>ラジオジャンキー さん
 やはり地方局だと聴いている人の数自体が少ないために、投稿する人が限られてしまうというのはあるんでしょうね。
 また、メールになってから「二重投稿やおもしろさに欠けるネタが多くなってしまった」というのは同感です。
お金を出してわざわざハガキを買いに行き、文章を練ってから書いて、またポストに出しに行く…なんて手間を考えると、そうそう雑な投稿はできないですが、常時接続が普及してきた現在は特に、メールならすぐ気軽に送れる反面、あまり練られてない文章でも何通でも送れますから。

>一読者さん
 司法の判断、という話になると専門外なので分かりませんが、「多重投稿は禁止」と明言していなければ別に問題ない、というのは法的解釈ならそうなのかもしれませんが、「明言されてなければ度が超えたものについても良し」とするのは、それを聴いているリスナーの立場に立てば抵抗がありますね。(法的な話に感覚で返すのは筋違いなのでしょうが。。。)
 また、パーソナリティが「非難」すれば、リスナーへの謗言に当たるというのは分かりますが、本文中でも触れたように、「非難」というほどではなかったとすれば、その度合いによっては解釈は変わってくるのではないかと思います。(※この辺は加瀬氏や私も含め、実際のオンエアを聴いていない状態なので、判断は難しいと思いますが…)

 「1番組じゃ採用確立が低いと思い、多数の番組に投稿し、どれかに採用されれば…。と考えたとすると、心情的に解らなくも無い。」という部分は、投稿者の立場に立てば、私もかつてはラジオ番組に投稿していたので、心情としてはよく分かる部分です。
 それが結果的に、「ラジオジャンキー」さんのコメントにもあるように、投稿者の数自体が少ない中で高確率で採用されてしまった、というのはあるでしょうね。それを局が気づいた時点で放送を控えるべき、というのも理解できますし、問題にされたくなければそうしたのではないかと思います。
 ただ、(パーソナリティに好意的に解釈すれば、ですが)そこをあえて取り上げて注意?したのは、むしろ真摯にリスナーに向き合って、言いにくいことを言ってくれた、ともとれます。言われなければ、本人は気づかないまま、他のリスナーに「あちこち同じメールを出して節操の無いヤツ」と思われる可能性も無いわけではないですから。
 パーソナリティとリスナーとのこういうやりとりは、二昔ぐらい前の深夜放送全盛期ならごく当たり前のやりとりで、その辺の感覚を覚えている世代の方(私はダイレクトにその世代ではないのですが、まだそういう余韻がある番組が残っていました)には違和感がないと思うのですが、そうでない最近の方だと、確かにショックが大きいかもしれません。そういう意味では、採用はしないで、個別にメールや電話で指摘してあげても良かったかもしれませんね。

 最後に加瀬氏については筋を通しているとのことですが、加瀬氏の論調は誕生日メッセージだけでなく、(新聞の例を持ち出していることからしても)投稿の一般論として問題ないとしているように私は読み取りましたが、放送作家という、番組を作る立場の人であれば、禁止が明示されているか否かに拘らず、自分の番組(自分の掲示板やメールでもいい)に寄せられたメッセージが、それこそあちこちに同じ文面でマルチポストされたものであったとしても気分が悪くならないのかなぁ?と素朴に疑問に思います。別にそれが問題ない、というのであれば、考え方の相違なので、なんとも言えませんが、私がその立場ならあまりいい気はしませんから「禁止とは書いてないけど、製作者側からすればうれしくないよ」ぐらいのことは書きそうですが…。この辺になると正に感覚の違いなのかもしれません。

投稿: tabo | 2005.06.17 00:12

ラジオの放送、その後の視聴者の投稿(質問)内容、何れも間接的な情報なので、
状況を把握せず推測で論じてしまった点は、お許しいただきたい。
立場、状況が変れば、多方面からの解釈が生じるため、
taboさん、ラジオジャンキーさんのコメントは、何れも理解できます。

アナウンサーの対応は、状況がわからない以上、憶測の域でのコメントになるため、
追記はしないが、状況を把握している(と思われる)加瀬氏が、背景を正確に描写せず、
自身のコメントを載せてしまったこと、
ネタの内容(おめでとうメッセージ)を考慮せず、新聞投稿を引き合いに出したことは、
軽率だったのかも知れない。

二重投稿は、禁止されていなくても、ネタが氾濫することは、
自分が視聴者なら、やはり聴いていて面白くは無い。
その点は共感できます。
前コメントに書いたが、「おめでとうメッセージ」はネタではなく、
メッセージとして、二重投稿が許されて欲しいという気持ちが少しある。
これは、確立が低く、マルチで投稿しないと採用が厳しいと思った場合であり、
もし、高確率で何度も採用されるという確信犯で、
何度もメッセージを流して欲しかったというならば、
迷惑と感じる他の視聴者がいるかも知れないと、少しは考えて欲しい面もある。

突然の長文に、丁寧に対応していただき、ありがとうございました。
新しい投稿も、楽しく読ませていただきます。

投稿: 一読者 | 2005.06.17 02:22

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