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2005.05.08

森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言

連日の福知山線脱線事故報道については昨日付の当ブログでもとりあげたところだが、さすがに、いわゆる「マスコミ側」にいる人たちの中でも違和感を覚える人が出てきているようで、5月6日に放送されたTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金・6時30分~8時30分放送)の中で、マスコミの脱線事故報道について触れられていたようだ。
 この番組の8時からのおよそ10分間は「日本全国8時です」という全国ネットのコーナーとなっており、この部分についての録音が聴けたので、その一部をご紹介する。ちなみにお相手は、このコーナーのゲストである小沢遼子。
(注・なるべく忠実に放送から書き起こしましたが、話し言葉のままでは分からない部分やトーンが伝わらない部分、単なる言い直し等については意図が変わらない程度に修正しています。念のため。)

(小沢)これ日本全国(で放送)ですけど、この放送はもうちょっと前から始まっているんだけども、その中で毅郎さんが、福知山線脱線事故の、あの聞いている取材の人達の態度は同業者としていかがなものかというようにおっしゃって、(ラジオを)聴いてる人達も「そうですねー」「そうだ」っていう反応をたくさん頂いているんですけど。 
(森本)ええそうなんですよ。
(小沢)あの事故でボウリング大会をやっていたなんていうのは、もうなんか「ええーっ」ていうような感じはしますが。
(森本)うん、たしかに会社の対応も、非常識だし。
(小沢)ええ。
(森本)それから記者会見もはっきりしないで非常にその、「記憶にない」とか、そういうことで終始したから(記者も)苛立ったことも確かだと思うんですが。…が。
(小沢・森本)それにしても、と。
(森本)…と、いうところが、僕にはあったんですよ。
(小沢)うん、だから要するにね。見ててね、あの事故はものすごく極端に報道が分かれてるんですよ。要するに事故の解明とかなんとかいうよりも、一人ひとりの人達の死んだ人達がいかにいい人達だったかみたいな個人的なエピソードをわんわんやって、で、親御さんの談話を聞いて。
(森本)ええ。
(小沢)これはもう「悲しい」「驚きだ」「どうしていいかわからない」「くやしい」とか、もう決まってるじゃないですか。それを延々と、あれだけの死者がでるから数が多いでしょ。お友達の証言だとかをわーわーやる。
(森本)ええ。
(小沢)で、一方では、とにかく会社が悪いというのは分かってるんだから、分かってるってのは変だけど、その対応が。これに対するこうなんていうの?無茶苦茶な浴びせかけ。これねー、見ててね、事故が悲しい以前にザワザワしちゃうんですよ。
(森本)そうなんですねー。まああの、いろいろメールとかファクスとか頂いたんですけどね、えー相模原の○○さんって方から。
「JR西日本のやったことは決していいこととはいえないんだけども、今や弱い立場になってしまった、そのJR西日本をいじめているのと同じだと。もう少し記者に対して教養と資質の向上と努力が必要じゃないか」と。
こういうご意見もありますし、(中略)千葉の男性の方からは
「いかにも弱者の見方という顔をしながら、こわもてに相手に迫る態度はどうしてなんだろうと。ニュースのワイドショー化の影響なんだろうかと。言葉の貧困を感じます」と。
ま、こういうご意見も頂いて、まあ、その、私はマスコミにいる人間ですから、天に唾するようなものなんだけれども、あえてまあ(番組で)言ったことに対して、常々感じた方が多かったのかなぁと。あらためて思いますねぇ。(後略)

 このあと、もっとマスコミは伝えなければいけない問題が多々あるはず、国に対してなど強いところには、あまり向かっていかない傾向がある、といった話の後、森本氏が以前自身が体験した経験(愛人スキャンダルのことであろう)に話が移る。

(森本)だいたいこの、相手に非があると、それから頭(こうべ)をたれているという場合は非常に強いですね。日本のマスコミは。
(小沢)そう。
(森本)これでもかこれでもかと叩きますね。
(小沢)ねー毅郎さん(笑)、毅郎さんはもうやられないと思うけど(笑)
(森本)あはは(笑)
(小沢)個人に切り離されちゃって誰も守ってくれない人は、叩くのよ。
(森本)あーありがとうございます。フォローしていただいて(苦笑)。
(小沢)あはは(笑)。ほら、福知山線だってボウリングだと守れないでしょ。
(森本)だから正義っていうものが、ま、その取材の根本にあるんだろうけど、そうすると、自分達が追及すべき相手が、まあその、弁明の余地がないというような場合は、あの僕なんかの所にも前ね、スキャンダルの時に取材きたんですけどね。「あいつを地獄に落としてやる」って言ったっていうんですよ。
(小沢)うん。
(森本)そのね、なんで僕はその記者に怨まれているのかなと(笑)。
(小沢)あっはっは。(笑)
(森本)あの人に僕は地獄に落とされるようなめにあわせたことはないなと。思いましたけどね、そういう気持ちになるらしいんですよ。
(小沢)はぁー。
(森本)「あいつを徹底的に打ちのめしてやるぞ」と。いうふうな、一種の何と言うかなぁ、敵愾心ていうか。そういうものがね、ふつふつと燃え上がるらしいんだな。これがいわば、あの記者たちのエネルギーになっているんじゃないかと。僕はそのときそう思いましたよ。そういうふうにしないと、できないものなのかなあと。
(小沢)なるほどねえー。(以下略)

 森本氏の場合、自分がマスコミの集中砲火を浴びた経験があるからこそ余計に実感しているのであろうが、マスコミ側にいる人達が、そういう感覚を持った上で取材・報道をしてもらいたいとつくづく思うとともに、森本氏があえて触れにくい部分に、自分の過去のスキャンダルも含めて言及しているところに、ちょっと感心した。

 まあこれも、自分がメインパーソナリティのラジオだからこそできる発言でもあるかもしれないのだが、注目度も高く、色々な事情が絡むテレビだと、なかなかここまで言及できないだろう。
 司会をしている「EZ!TV」(フジテレビ系・日曜22時~)では、5/8分でも「JR西日本あきれた“体質”実態」をとりあげるようなので、ぜひ一連の報道姿勢に警鐘を鳴らしてもらいたいのだが、あの番組の普段の傾向からして、あまり期待はできなさそう。VTRを変えることは無理だろうけど、せめてコメント等でそういう趣旨の発言をしてくれるといいのだが。

<参考>死ぬ間際にタイトル決まるかも:JR福知山線脱線事故(タケローStand-By編)

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コメント

こ・これはブログなんですか?ウトい私には分かりません。少々重いです。とにもかくにも私のブログが貼られてるのでお邪魔しました。面白いのでちょくちょく拝見させて頂きます。初めましてよろしくです。

投稿: 2g | 2005.05.08 23:31

記者会見って質問してる記者の顔は絶対映さないから、あんな粗暴な発言(とはいえないな、野次だ)してるような気がしますが。顔をさらしてしゃべれ、と言いたいですね。

投稿: MARU | 2005.05.12 01:23

>2gさん
これも一応ブログなんですが。。。
重いのは申し訳ありません。ニフティ全体が重いようでして、自分が更新する時にもなかなか画面が切り替わらなくてイライラします。

>MARUさん
石原東京都知事の定例記者会見は毎週、東京MXテレビで生中継するのですが、記者の顔は映さないものの、質問する前に所属と名前を名乗らせるせいか、石原知事がどんなにぞんざいな返事をしようと、記者はみんな丁寧語ですからね(苦笑)。
実際問題として、暴言吐いたってなんにもならないわけで、記者も顔を映すか名乗らせることによって、もう少しまともな質問になるのではないかと思いますね。

投稿: tabo | 2005.05.13 20:40

会社が糾弾されて余りあるのはなんととしても 事前に安全優先運行がイの一番にが最優先である事の轍底
仕方ありません。事故ツてからしか問題視されない
いつものパターンが改められ無い限り
会社の経営は即人命優先安全運行と平行するもので
あることは 収支からみても当たり前のことは
素人でも分かることなのにと儲け過ぎとか
稼ぎ過ぎなどは考えてみた事は一度位はなかツたもの
ですか。バランス感覚を失しなツた経営に終始した
為におこるべくして起きた結果に見えてきてなりません
従業員のチーム力のなさにも寂しい想いもしたのも事実です。今後の奮闘ある労使の牽制が適正な経営を生むとおもいます。

投稿: kasahara | 2005.08.16 18:15

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