« 4月のアクセス状況 | トップページ | 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言 »

2005.05.07

JR福知山線脱線事故報道

4月25日にJR福知山線で脱線事故が起こってからまもなく2週間になろうとしているが、あいかわらず報道がおかしな方向に向かっている。

 事故直後のまだ詳しい状況も分からないうちによく見られたのが、短絡的な原因決め付けはもちろんのこと、時刻表を映して「こんな短い間隔で走っているんですよ」「怖いですねぇ、やっぱり過密ダイヤは問題ですね」などという無責任なやりとり。では、あなたたちが東京のテレビ局へ向かう時に利用しているであろう首都圏のJR・地下鉄各線はどうなのだろうか。
 言うまでもなく、あの区間より頻繁に運転されている区間はいくつもある。「過密ダイヤ」という言葉に引きずられているのだろうが、いまだにこの論調は見かける。今回問題なのは、1時間あたりの列車本数よりも所要時分に余裕がないことであり、だから列車が遅れるとスピードを上げて定時運行にしようとするのだが、そういうプロセスを全然考えてしゃべっていないからおかしくなる。

 そして、最近は一連のボウリング、懇親会などの「不祥事」報道だ。
 ボウリングは普通に歓声が上がっていただの、何人が二次会へ行っただの、いくらのコースだっただの、酒は何人が飲んだだの、これが事故とどう関係あるのか、放送しているほうもアホラシイと思わないのかと逆に不思議に思えてしまう。

 JR西日本のほうも、あとでマスコミ側から「こんなのもあったのに隠してた!」と叩かれてはかなわんと思ったのか、それともやけくそなのか分からないが、休暇をとって韓国旅行へ行っていた人や、駅主催のお客様との企画旅行や大阪から遠く離れた金沢や米子の事例まで自ら「不祥事」として公表し、またそれらをすべてひっくるめた人数で鬼の首をとったかのようにテレビ等が報道。もう事故なんてどこかへいってしまっている。
 これらが勤務時間中に行っていたり、召集がかかるような部署であるなら「不祥事」だろうが、すべて非番や休暇中のことであり、「不謹慎」ではあるかもしれないが、「不祥事」といってよいものか。(いくらJR西日本管内とはいえ、大阪から遠く離れた地区の人たちがその日に懇親会や送別会を開いても不謹慎とも思えないが。)

 そんなことを垂れ流している時間があるなら、事故を防ぐにはどうしたらよいかとか、こういうことに至った背景はどんなものであるかといったことを取材するとか、他の国内外に起こっている様々なニュースを報道すべきではないかと思うのだが、どうもそうはならないようだ。
 以前も当ブログでニュース番組の「ニュース番組」という形をとった「ダラダラワイドショー」化を嘆いたことがあったが、こういう事件が起きた時も、結局、悲しみにくれる遺族や故人の生前の業績等を見世物(というより晒し者だと思う。)にして悲しいBGMをつけた「お涙頂戴」映像と、記者会見で頭を下げるJR西日本幹部への記者の恫喝・罵声(あんたは遺族の関係者なのか?)映像、そして土地勘もなく事情もよく分からないキャスターとコメンテーターの無責任で感情的なコメントのやりとりで水増しして放送しているだけで、やっぱり時間拡大する意味がなかった。民放各局のニュースはもちろんのことなのだが、最近はNHKですらこういう傾向なのはうんざり。

 こういうマスコミの報道に違和感を覚えている人はあまりいないのかと思っていたが、多くのブログ等で同様の感想を書いている方がいてちょっとほっとした。

<追記・関連記事>
 JR福知山線脱線事故に対する呆れたコメント
 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言
 運転士や車掌などへの『暴行』等が相次ぐ

|

« 4月のアクセス状況 | トップページ | 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言 »

コメント

はじめまして。
T/Bありがとうございました。
事故の原因は、会社の体質、労組の我儘、社会全体の問題など、色々あると思いますが、
陳腐なバラエティのような昨今のテレビ、ゴシップ雑誌のような新聞には呆れ果ててしまいます。
薄っぺらい正義感を振りかざし、人の死を奇貨として喜々としているような感じは、マスコミ関係者が人であることすら疑いたくなります。

投稿: FD3S | 2005.05.08 02:42

事故の原因は運転手の自殺行為です。

理由:
この事故に至る前の駅でオーバーランをした。このまま乗務が終わっても運転手の職を解雇されることは明らかである。それはその日、乗務に出る前に会社に言い渡されていた。

どうせ死ぬんだったら列車事故で死ぬのが良いと考えたかもしれない。もしもそうだとするなら、このカーブで転覆して死ぬのがいいと判断した。その為に、過度に速度を出した。思惑通りに、列車は遠心力によって右カーブのところを左側に浮き上がって脱線した。そして、建物に激突して望み通り自殺を遂げることができた。運転手をそこまで追い込んだJRの社員管理が根本原因である。但し、その運転手本人の人間性と技術が素晴らしいものだったかどうかは分からない。

投稿: 匿名希望 | 2007.06.13 00:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: JR福知山線脱線事故報道:

» そこまで堕ちたか [日々徒然]
そこまで堕ちたか 毎日新聞は、小朝日などと言われアレな新聞ですが、かつてはそこそこの発行部数を誇っていました。それが外務省勤務の女性を誑かして国家機密を漏洩させたという事件で報道機関としての信頼を失墜しました。 関連のTBSもオウム事件のごたごたで、「報道TBSは死んだ」などと言われてますし、そう言った筑紫哲也氏ですら、自身の多事盲論に歯止めがかからなくなっています。 さて、前置きはこのぐらいにして、堕ちまくりの毎日の情けない姿を見てください。JR西日本バッシングをすれば何でも受けるとばかりの陳腐さ... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 02:37

» 脱線事故だよ全員集合! [アバンギャルドな日常]
注:今回のblogはマスゴミの皆さんと同じノリで書いているため、不謹慎かつ不真面目な内容が随所に見られます   にやにやしながらお読みください。5/8 0:40タイトル変更しました   読売のサイト:2メートルのオーバーランがあって2分電車が遅れた、だって だ ... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 02:53

» JR福知山線事故(2)…マスコミ,おかしくないか? [D.D.のたわごと]
25日のJR福知山線塚口・尼崎間の脱線・衝突事故から10年。 JR西日本が抱えてきた闇の部分が次々とあらわになってなってきていますが, 連休中の今朝のテレビ各局の報道を見ていると, 報道する側も感情的・扇情的な方向に偏ってきているように見え, 逆に醒めてしまうところがありました。 ◆今,この事故で“旬”な話題は次の3つ。 (1) 衝突電車に乗り合わせたJR職員が救援活動をせず出勤した件 (2) 事故当日,天王寺管区�... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 09:02

» 尼崎の事故について本当に知りたいこと [Studio RAIN's diary]
 尼崎の事故報道については、第一報からちょっと嫌な感じがしていて、このブログでも [続きを読む]

受信: 2005.05.08 17:37

» 内面を裁くときの作法 [Studio RAIN's diary]
 「ボウリング問題」に対するマスコミの姿勢について、前回はやや搦め手から批判して [続きを読む]

受信: 2005.05.08 21:55

» 恫喝することが取材なのか [オフ_ザ_グラウンド]
尼崎のJR脱線事故ですが、会社側の対応のまずさが問題となっています。事故当時の事実がしだいに明らかになるにつれて、被害者ならびにその関係者にとって虚しさが増し、やりきれない思いと推察します。 しかし昨日(5/5)、テレビでながれたJR西日本の会見での取材陣の態度は、報道機関としての一線をこえていたと思います。今朝の『スポニチアネックス』がその様子を一部再現していましたので、紹介してみます。「とんでもない会社や」「申し訳ございません」---大阪市での会見は、取材陣も一問一答にとどまらず、JR西日... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 22:27

» ■JR西日本報道:マスコミは神様?■ [世の中不思議で面白い]
JR西日本の報道は益々加熱しています。事故の悲惨さや亡くなられた方の無念。通勤・通学で我々一般市民が身近に利用する電車で起きた事故であることなどを考えると、この事故の報道によりその他の事故報道が片隅に追いやられてしまったことは別として、マスメディアによる大量報道は理解できるところではあります。 今回の事故は、'''天災ではなく人災'''であり、明らかになってきている事実によれば、'''被害者側に瑕疵は全くないこと、全て..... [続きを読む]

受信: 2005.05.09 00:27

« 4月のアクセス状況 | トップページ | 森本毅郎、小沢遼子がJR福知山線脱線事故報道に苦言 »