JR福知山線脱線事故報道
4月25日にJR福知山線で脱線事故が起こってからまもなく2週間になろうとしているが、あいかわらず報道がおかしな方向に向かっている。
事故直後のまだ詳しい状況も分からないうちによく見られたのが、短絡的な原因決め付けはもちろんのこと、時刻表を映して「こんな短い間隔で走っているんですよ」「怖いですねぇ、やっぱり過密ダイヤは問題ですね」などという無責任なやりとり。では、あなたたちが東京のテレビ局へ向かう時に利用しているであろう首都圏のJR・地下鉄各線はどうなのだろうか。
言うまでもなく、あの区間より頻繁に運転されている区間はいくつもある。「過密ダイヤ」という言葉に引きずられているのだろうが、いまだにこの論調は見かける。今回問題なのは、1時間あたりの列車本数よりも所要時分に余裕がないことであり、だから列車が遅れるとスピードを上げて定時運行にしようとするのだが、そういうプロセスを全然考えてしゃべっていないからおかしくなる。
そして、最近は一連のボウリング、懇親会などの「不祥事」報道だ。
ボウリングは普通に歓声が上がっていただの、何人が二次会へ行っただの、いくらのコースだっただの、酒は何人が飲んだだの、これが事故とどう関係あるのか、放送しているほうもアホラシイと思わないのかと逆に不思議に思えてしまう。
JR西日本のほうも、あとでマスコミ側から「こんなのもあったのに隠してた!」と叩かれてはかなわんと思ったのか、それともやけくそなのか分からないが、休暇をとって韓国旅行へ行っていた人や、駅主催のお客様との企画旅行や大阪から遠く離れた金沢や米子の事例まで自ら「不祥事」として公表し、またそれらをすべてひっくるめた人数で鬼の首をとったかのようにテレビ等が報道。もう事故なんてどこかへいってしまっている。
これらが勤務時間中に行っていたり、召集がかかるような部署であるなら「不祥事」だろうが、すべて非番や休暇中のことであり、「不謹慎」ではあるかもしれないが、「不祥事」といってよいものか。(いくらJR西日本管内とはいえ、大阪から遠く離れた地区の人たちがその日に懇親会や送別会を開いても不謹慎とも思えないが。)
そんなことを垂れ流している時間があるなら、事故を防ぐにはどうしたらよいかとか、こういうことに至った背景はどんなものであるかといったことを取材するとか、他の国内外に起こっている様々なニュースを報道すべきではないかと思うのだが、どうもそうはならないようだ。
以前も当ブログでニュース番組の「ニュース番組」という形をとった「ダラダラワイドショー」化を嘆いたことがあったが、こういう事件が起きた時も、結局、悲しみにくれる遺族や故人の生前の業績等を見世物(というより晒し者だと思う。)にして悲しいBGMをつけた「お涙頂戴」映像と、記者会見で頭を下げるJR西日本幹部への記者の恫喝・罵声(あんたは遺族の関係者なのか?)映像、そして土地勘もなく事情もよく分からないキャスターとコメンテーターの無責任で感情的なコメントのやりとりで水増しして放送しているだけで、やっぱり時間拡大する意味がなかった。民放各局のニュースはもちろんのことなのだが、最近はNHKですらこういう傾向なのはうんざり。
こういうマスコミの報道に違和感を覚えている人はあまりいないのかと思っていたが、多くのブログ等で同様の感想を書いている方がいてちょっとほっとした。
<追記・関連記事>
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コメント
はじめまして。
T/Bありがとうございました。
事故の原因は、会社の体質、労組の我儘、社会全体の問題など、色々あると思いますが、
陳腐なバラエティのような昨今のテレビ、ゴシップ雑誌のような新聞には呆れ果ててしまいます。
薄っぺらい正義感を振りかざし、人の死を奇貨として喜々としているような感じは、マスコミ関係者が人であることすら疑いたくなります。
投稿: FD3S | 2005.05.08 02:42
事故の原因は運転手の自殺行為です。
理由:
この事故に至る前の駅でオーバーランをした。このまま乗務が終わっても運転手の職を解雇されることは明らかである。それはその日、乗務に出る前に会社に言い渡されていた。
どうせ死ぬんだったら列車事故で死ぬのが良いと考えたかもしれない。もしもそうだとするなら、このカーブで転覆して死ぬのがいいと判断した。その為に、過度に速度を出した。思惑通りに、列車は遠心力によって右カーブのところを左側に浮き上がって脱線した。そして、建物に激突して望み通り自殺を遂げることができた。運転手をそこまで追い込んだJRの社員管理が根本原因である。但し、その運転手本人の人間性と技術が素晴らしいものだったかどうかは分からない。
投稿: 匿名希望 | 2007.06.13 00:54