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2005.03.06

ホリエモンは、結局ラジオをどう変えたいのか

 2月27日放送の「伊集院光日曜日の秘密基地」(TBSラジオ・午後1時~)のスペシャル企画、「ニッポンのもしもを考えようSP!」の中で、「もしも、ライブドアがニッポン放送を買収したら、ラジオはどう変わるのか?」というテーマがあった。
 常々この話題でもちきりの昨今なのに、「ホリエモン」こと堀江社長に肝心のこの点を聞いてくれる番組がなかったところであり、興味深く聞いたのだが、、、。
 はっきり言って伊集院がホリエモンの話を膨らませて話として完結させたために、それらしいことを言ったように一見聞こえるが、相変わらず何も具体案はないのだということを再認識しただけだった。

 最初に伊集院が「番組がどう変わっていくのか」を聞いたのだが、ホリエモンの最初の答えが、今まで唯一出ている具体案「ラジオ局のポータルサイトは番組情報だけでせっかく見に来た客を逃すのはもったいない、ここで買い物が出来るようになれば、リスナーも便利だし放送局ももうかる」(注・録音しているわけではないので、こういう趣旨の話をした、ということ。以下同じ。)という、例の総合ポータルサイト化の話。

 それって、物販やポータルサイトが繁盛するだけで、ラジオ番組自体は関係ないじゃないの?
 
 この時点で「はぁ?」なのだが、次に出てきたのが、「ネット上で番組をいくつも作って放送し、ランキングをつける、その上位のものを電波で放送する」という入れ替え制の導入プラン。
 これは昔、少年ジャンプがハガキによる読者投票をやって、ランキングが低いものは容赦なく連載打ち切りとする似たようなことをやっていたが、短期的にはよかったものの、読者の評判を意識しすぎた内容が露骨過ぎたのか、結局は読者の不評を買い、部数も停滞してしまったと記憶している。
 それはともかく、ネットラジオがどれほどの物なのか、ホリエモンは聴いたことがあるのだろうか。ごく一部にはプロ顔負けの面白い放送もあるだろうが、現行の放送を押しのけてまで聴きたいような放送はそうそうない。

 音楽を流しているだけならともかく、特にトークについては、なんだかんだ言っても訓練を受けたプロは聞きやすいし、最低限の仕切りは必要なのだ。昔バブル華やかな頃、いわゆる大学の放送研究会系のメンバーが企画しトークする形式の放送を試みた例がいくつかある(KBS京都の「フリーキャンパスKYOTO」やABCラジオの「ラジオシティ」など)が、実際問題としてトークは聴くに耐えなかったし、企画はダラダラ。案の定、ことごとく半年以内になし崩し的に元のスタイルに戻っている。

 例えば「オールナイトニッポン」の1枠をそういう企画の優勝枠にして放送するというくらいなら分かるが、放送は365日、日曜深夜を除き24時間放送なのである。それを競わせるどころか埋められるだけの放送なんて、集まりっこない。
 タレント事務所などが番組を自社製作し、タレントごと売り込むような話もしていたが、1回ないし数回の企画ならともかく、ラジオで放送されるまで(それも、「ランキング」だから、放送される保証はないのに)毎週毎週カネと手間をかけて、ノースポンサーで番組制作するような奇特な会社がどこにあろうか。
 しかもこれは突き詰めれば、放送局の自主編成・自社製作を放棄するということであり、放送局がただの「電波の時間貸し屋」に成り下がる、ということにもなりかねない。

 もともとホリエモンがニッポン放送に目をつけたのは、ラジオに興味があるからではなく、フジ・サンケイグループに関心があるからであって、それなら一貫してそう言えばいいと思うのだが(世間もホリエモンが「ラジオ局を変革したいから」なんて思ってないのは、冒頭に書いたようにホリエモンに「ラジオがどう変わるのか」を誰も聞かないことをみても明らかだし)、それを変に中途半端なラジオ変革論などを持ち出すから始末が悪い。加えて、オキラクでいいよね?さんのところでも触れられているように、説明が断片的でその奥が見えてこないものだから反発を買うのだろう。
 こういう状況を見る限り、別にニッポン放送リスナーでなくとも、少なくとも多少なりともラジオを聴いている人たちから見れば、今のホリエモンの発言や構想に対しもろ手を挙げて賛成する人は少ないのではないかと思う。

 舞台が裁判所へ移ったこともあってか大きな動きがないこの頃だが、果たしてニッポン放送の行方はどうなるだろうか。ホリエモンの下でニッポン放送が良くなるとも思えないのだが、かと言って、ここ数年のニッポン放送も多くのリスナーが首をかしげるような番組編成をしてきたことは否定できないと思う。これを機に、各局競い合ってラジオが活性化されるといいのだけれども。

(3/6追記)
 2月12日の記事「ライブドアのニッポン放送株取得でラジオは変わるか」を今読み返してみると、この時から約1ヶ月が経とうとしているのに「ラジオ自体がどうなるか」ということに限って言えば、ほとんどと言っていいほど新しい情報が出て来ていないことが分かるが、ニッポン放送社員の声明文を受けて、また多少なりともラジオに対する愛情をひけらかそうとでも思ったのか、自社サイトの記事で「リスナー重視のアイデアも披露した」などという記事を載せている。

 これも含めて、これまでのライブドアというかホリエモンに対する感想は、「こっそりとおひっこし」さんのところの記事が実に的確に書かれているので、ぜひ参照していただきたい。
 まあ、やはりホリエモンはラジオそのものには関心がないんだろうなぁ。。。

(2006/1/23追記)
・堀江社長らが証券取引法違反容疑で逮捕された。こちらへ→ ライブドア堀江社長ら逮捕




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コメント

TBありがとうございました。
私もここ数年のニッポン放送の編成には大分首を傾げてきました。
また、多くの人材がこの局を離れていく現状も理解し難いものでした。
好きな局であるが故に、苦言を呈したいことが多い。
堀江氏のラジオに対する「愛情の無さ」が日に日に色々分かってくる一方、
脇の甘い現体制にも疑念を抱いてしまいます。

投稿: | 2005.03.07 01:34

失礼しました。上記、名前等入れ忘れました・・・。

投稿: ラジオ屋 | 2005.03.07 01:36

トラックバックありがとうございました。
堀江氏一連の行動に対する考察、大変勉強になりました。

ラジオで青春時代を過ごしてきた小生としては、堀江氏の発言は、反感を買うだけで希望の断片も見出せません。
堀江氏のことですから、適切な人材を投入するとは思うのですが、上に立つ人が、あのようなラディカルな発言をされると、動くものも動かないと思います。

ラジオがより良い方向に進むことを祈るばかりです。

投稿: nrsor | 2005.03.13 22:17

はじめまして、自分はネットしながらラジオを聞くことが多いので、ラジオとネットが今後どうなっていくかは興味があります。Lドアの事業計画?はともかくとして。ラジオとネットは親和性が高いように思います。すでに携帯電話の一部機種では、FMラジオの 受信機能(やがては地上波デジタル放送も)とWeb機能(JIGなど、フルブラウザもあることですし)が同居しているわけで、双方向連動サービス番組を実現する下地はできつつあると思います。

投稿: Captain | 2005.03.22 21:24

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